2025/5/12(月)「金正恩時代の最側近が次々と粛清へ…後継者指名が間近か?」
金正恩政権の後継者指名を前にして、金正恩時代を支えてきた側近たちが一人また一人と粛清されていっている。ついに核兵器担当総括責任者だった李炳鉄(リ・ビョンチョル)が、政治局常務委員を解任された。先日からお伝えしていたように、趙甬元(チョ・ヨンウォン)は事実上、先に粛清された。金正恩政権初期から対南関係を総括し、韓国の哨戒艦「天安(チョナン)」への魚雷攻撃の責任者でもあった金英徹(キム・ヨンチョル)は、2018年のトランプとのハノイ会談決裂の責任を取らされ粛清されていた。李炳鉄は、金日成、金正日、金正恩と三代にわたり軍事面での優れた業績を上げた不動の側近だった。今年1月に金正恩の逆鱗に触れた金徳訓(キム・ドクフン)も既に降格され、残るは張り子の虎に過ぎない崔龍海(チェ・リョンヘ)だけとなった。今や、後継者の後見人役を司る金与正(キム・ヨジョン)夫婦を残し、周辺の権力者をほぼすべて排除した形だ。これにより後継者発表が間近なのだろうと予想される。

2025/5/13(火)「金平一の息子は今どこに?…後継者に絡むミステリーが急浮上!」
金正日の異母弟の金平一(キム・ピョンイル)は、金正恩が政権に就いた後に、チェコ大使を解任されて北朝鮮に帰国したが、その時一緒に帰国しなかった彼の息子のことが、今、平壌で話題になっている。金日成の後継者として有力だった金平一は、金正日が権力に就くとすぐにヨーロッパに飛ばされ、長らく権力から遠ざけられていた末に、北朝鮮に呼び戻されてから今に至るまで幽閉生活を強いられている。金正日の兄の金正男は金正恩に殺され、その息子の金ハンソルは現在アメリカにいる。今の金正恩の国家運営はとんでもない状況にあるため、仮に金正恩が突然失脚した場合、その跡を継ぐ候補者は、金ハンソルか金平一の息子となるだろう。その金平一の息子が北朝鮮には帰国していないし、アメリカやヨーロッパにいたという形跡もない。従って、可能性としては中国にいるのではないかと推察されるのだ。しかも単に中国にいるというより、いざという時のために、中国が金平一の息子を管理しているのではないか、という憶測が広がっているのだ。

2025/5/14(水)「平壌のど真ん中に爆発炎上したバスの残骸が放置⁈」
平壌の街中に爆発炎上したバスが放置されているという奇妙な写真が届いた。北朝鮮は、ビルが倒壊しても1日で跡形もなく片付けてしまう国なのに、焼け焦げたバスを、外国人が行き来する街中に放置するとは、一体どういうことなのだろうか。いろいろと取材してみても、このバスがなぜこのような状態になったのか原因は不明だが、北朝鮮当局にこれを片付ける余力がないらしいことは分かる。つまり、政権打倒を目論むテロがあちらこちらで起こっていて、単に手が回っていないのかもしれない。労働党組織指導部の内部資料に「出所不明の大量の武器が平壌に流入している」という記述があるという。これは北朝鮮内部に、もう金正恩体制の下では暮らしていけないと考える者が増えていて、行動を起こそうとしていることを意味するのではないだろうか。

2025/5/15(木)「金正恩政権崩壊に備え、中国が後継者候補を管理?」
中国が、北朝鮮に政変が起きた際に対処するため、後継者となりうる人物を独自に管理していようだ。クアラルンプールで毒殺された金正男の息子は金ハンソルだけが知られているが、実は金クムソルというもう一人の息子がいることが分かった。金正男には何人かの女性がいて、1996年生まれのハンソルの母親は李ヘギョン、1998年生まれのクムソルの母親はシン・ヨンヘだが、金正男の本妻はシン・ヨンヘであると見られる。2002年に金正男が羽田空港で逮捕されたことがあったが、その時、同行していた幼い子がクムソルだ。周知のとおり、ハンソルは現在アメリカ在住でありアメリカ政府の保護下にあるが、クムソルは金正男殺害事件の後、マカオに留まり、現在は中国政府の管理下に置かれている。中国政府は、北朝鮮が崩壊して韓国やアメリカの手中に落ちることを望んでおらず、いち早く後継者を立てて自らの影響下に置きたいのだ。その場合の候補として、中国は、金正日の弟である金平一(キム・ピョンイル)とその息子、そして金正男の息子の金クムソルを管理し、北朝鮮の崩壊に備えているのだ。現在、金正恩は娘の金ジュエばかり連れて歩いていることからして、適当な男子の後継者がいないものと思われており、韓国の国情が不安定な中で中国の動きを注視する必要があろう。

2025/5/16(金)「金正恩が中央放送で『韓国軍が勇敢に戦う』ことを警戒?」
金正恩は、ウクライナを徹底的に抑えることで、韓国軍が勇敢に北朝鮮軍に歯向かえないようにしなければならないという趣旨のことを述べた。彼は、圧倒的な軍備を備えたアフガニスタン軍が、タリバンの抵抗の前にしっぽを巻いて逃げてしまった事態を見て、これを自らに当てはめようとしているようだ。文在寅政権時のように平和を叫び、軍内部に攪乱分子を送り込み、兵士への精神教育を徹底しないで腑抜けにしておけば、いくら最先端兵器を備えていても北朝鮮の挑発の前で降参してしまうだろうという目論見のようだ。しかし、韓国軍が北朝鮮軍に比べて卑怯だとか勇敢でないとか遅れているということは決してない。今回のロ・ウ戦争では、ロシアに比べはるかに弱小で兵器も決して最先端ではなかったウクライナが、あの軍事大国ロシアを相手に3年も持ちこたえているのだ。ロシアが世界で最も貧しい北朝鮮からの援軍で辛うじてクルースクを奪還したというが、それこそロシアの恥なのではないか。それだけウクライナに底力があるということだし、自由主義国が独裁国に戦闘力で劣ることはないことを物語っているのだ。そのうえ韓国にはF35戦闘機、ドローン部隊、天弓(チョングン)ミサイル、K9戦車など強力な武器を具備している。従って、金正恩の目論見どおりになるはずがない。

2025/5/17(土)「金正恩の秘密資金持ち逃げした朴ウォニル少将のその後」
2024年8月に本放送が、人民軍保衛部の朴ウォニル少将が金正恩の秘密資金3千万ドルを持ち逃げしようとしたが、逮捕されて北朝鮮に送還されたようだとお伝えしたが、どうやら北朝鮮への送還は行われず、中国政府に保護されているらしいことが分かった。朴ウォニル少将の事件の発端は以下のとおりである。2024年7月当時、北朝鮮はロシアからの要請に応えてありったけの武器・砲弾・弾薬を提供したが、その品質があまりに粗悪だったため、もっと精密度を上げるよう要求されて、武器製造工程に必要な最新式の設備を中国から輸入しようとしていた。その業務を担当して中国に滞在中だった朴ウォニル少将が、投資に失敗した穴埋めをするついでに資金を横領して潜伏したのだった。その後、韓国にも東南アジアなどにも現れた形跡がなく、逮捕されたらしいという噂に、事件は決着したと思われた。ところが、逮捕の噂は北朝鮮の逆の情報リークだったようで、現在も北朝鮮は彼の行方を追っているという。中国は脱北者保護の方向に政策を転換したと見られることから、朴少佐は保護され安全に暮らしているものと見られる。中国内には北朝鮮から派遣されたものの外貨稼ぎもままならず、帰国も希望しない事実上の脱北者が数多く潜在しているため、今後このような事例が増えるのではないだろうか。

2025/5/18(日)「いまやイスラエルと中国が金正恩の除去に動くか?!」
今、北朝鮮では金正恩の命を守り抜くため、あらゆる手段を動員し、士気を高める方策を日々練り続けている。その理由は、最近の反金正恩の動きが、国内だけでなく国外との繋がりを示唆する特殊装置が多数発見されているからだ。そのうちの一つが衛星電話だ。見かけは北朝鮮国内専用の電話と区別がつかないが、国内の回線を使わずに、海外との通話が直接できる。これは、北朝鮮ではもちろん違法であるし、使用料が高額なため、何者かが何らかの目的を持って国外から持ち込んでいると見るしかない。もう一つは特殊USBで、コンピュータにつなぐと、最初は何も起こらないが、数時間後に指令文が現れるというように、精巧に仕組まれた工作用のツールである。ただ、現在、米国は他国の内政に関与しない方針だし、韓国は政情が安定しないため北朝鮮への工作どころではない。それでは誰がこのような工作をしているのか。どうやら中国とイスラエルのモサドが動いているものと見られる。イスラエルはイランの核兵器開発に北朝鮮が関わっていると考えられるため、その技術の供給源を断ちたいのだ。命知らずのモサドの要員が工作に大量に投入されているという。モサド要員といってもモサドに教育と資金を受けた中国人であるため、北朝鮮と事業や交流を行うなど、目立たない形でいくらでも接触が可能なのだ。さらに中国の国家安全部が、もはや北朝鮮の有事を座視してはいられないと考えており、不測の事態に備えて後継者管理まで着々と進めている。米国や韓国がやらない、できないことを、中国とイスラエルがやってくれている形だが、金正恩にとっては生きた心地がしない状況なのではないか。

「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)