10月28日（月）「北朝鮮兵士の脱走→逮捕、今後の大規模離脱を予言」
ロシア軍のウクライナ戦線に配備された北朝鮮兵士18人が戦線離脱後、ロシア情報当局に逮捕されたというウクライナ発のニュースがあったが、派兵後早々の脱営は今後の大規模離脱を予言するものだ。なぜなら、第1に大義名分のない戦いであり、第2に戦闘で死傷した場合の補償がなく（知らされておらず）、第3にこれは自由を手に入れるまたとない機会だからだ。装甲車や戦車などの防御装置もなしに、最新鋭兵器を備えたウクライナ軍の前に弾除けとして放り出される北朝鮮兵士は、戦う意思もなく逃げ出すことしか頭にないに違いない。韓国政府と韓国軍は、北朝鮮兵士に対し、投降すれば自由と人権が保障されることを知らせ、あらゆる手段を動員して彼らの投降を誘導すべきである。
10月29日（火）「金ヨンボク副総参謀長が率いた特殊部隊の正体は?」
ロシアに北朝鮮兵を率いて行った金ヨンボクは特殊部隊「暴風軍団」を指揮する副総参謀長であることは確かだが、兵士らすべてが暴風軍団ではないとの指摘がある。戦闘に長けた暴風軍団を派兵するより未熟でひ弱な兵士で頭数を満たしておき、彼らが戦死すれば、北朝鮮への実入りは充実する。かつて金正恩が、1人の特殊部隊員は100人の一般兵に勝ると言ったことがある。仮に20万人といわれる特殊部隊員をすべてロシアに送ってしまえば、いざ自国の有事の際、韓国に浸透させる要員がいなくなってしまう。そのため、日ごろ農業や建設業に当たらせていた一般兵と混成して送り込んでいるのではないか。ロシアに派遣された北朝鮮兵だとされる写真を見ると、金正恩が特殊部隊を視察した時の写真と比べても明らかに幼く体格も小さくひ弱である。ロシア兵が北朝鮮兵をバカにして毒づいたり虐待したりしている映像がウクライナ軍から発信されている。北朝鮮軍に不信感を抱くようになったロシア軍とプーチンの目を欺くため、特殊部隊を指揮する金ヨンボクが率いて行くことで特殊部隊を派兵したように装っているのではないか。
10月30日（水）「国連で韓国代表の発言に北朝鮮代表が大慌て」
化学兵器使用禁止について議論する国連総会の場で、北朝鮮代表が「我々は化学兵器禁止条約を遵守している」と発言したのに対し、韓国代表が金正恩の兄・金正男の暗殺について具体的に言及しながら反論したところ、北の代表はでたらめを言うなと猛反発した。金正男暗殺は北朝鮮国内では知らされておらず、国外にいる北朝鮮人にも知らせたくない事件である。我々にとっては周知の事実であるが、在外の北朝鮮人にとっては初めて聞く話で興味津々であるため、外交官は必死で抵抗しているが、それならなおさら、あらゆる在外北朝鮮人に知らせることで北朝鮮離脱に導くべきだろう。
10月31日（木）「金正恩がロシア派兵で得ようとするものは」
金正恩は自らの奴隷をロシアに兵士として送り込むことで、何を得ようとしているのか。まず、開発途上の偵察衛星を完成させるための技術と機体であり、次に米国のF35に匹敵する戦闘機SU-57、そしてSLBMを装着できる核潜水艦である。これらの兵器・技術を導入することで、辛うじて韓国軍に対抗できると考えているのだ。現在、戦況を左右する兵力に事欠いて腐心しているロシアの弱点を利用し、ほとんど戦力にならない北朝鮮の兵士の頭数を揃えて売り渡し、最新鋭兵器を手に入れようとしている。しかしウ露戦が終わった途端ロシアが手のひらを返さない保証はない。
11月1日（金）「李チャンホ偵察総局長のロシア派遣の意味に注目すべき」
ウクライナ情報当局が北朝鮮軍の将軍3人を含む500人の将校がウクライナ戦に向け派遣されたと伝えた。3人の将軍のうちの1人である李チャンホ偵察総局総長がそこに名前を連ねたことに注目しなければならない。偵察総局とは強力なテロ組織であり、表には現れないが決して軽く見てはいけない存在だ。暴風軍団などとは次元の違う精鋭中の精鋭で、有事の際には敵地に潜入して後方を攪乱し、重要施設を爆破したり機能停止にしたり要人を暗殺したりする旧来型のテロ組織である。ロシアが戦局を転換させるため特殊作戦に投入する可能性がある。現在、派遣された北朝鮮兵士はひ弱な弾除けであるように伝えられているが、偵察総局の戦闘員がウクライナに浸透して秘密作戦を行った場合、このような戦闘を経験したことのないウクライナにとって非常な脅威となる可能性がある。ウクライナ軍がこれに備える必要があるのは勿論だが、これが実戦経験として蓄積された場合、韓国にとっても重大な脅威になりうることを我々は肝に銘じる必要がある。
11月2日（土）「必死の情報遮断にも関わらず戦況情報拡散…死亡補償金検討か」
世界を駆け巡った「交戦初日に北朝鮮兵が1人を除いて全滅」とのニュースが北朝鮮国内でも広がり始め、不穏な空気が広がっている。ロシア駐在の北朝鮮大使館では死傷者への対応に苦心しており、その情報は平壌の上層階級に伝わっているという。一般住民の間にも噂が広がっているが、日々変化する情報をいち早くキャッチするためにラジオを買い求める人が増えているという。息子を軍隊に行かせている親が不安のあまり当局に抗議に押しかけた挙句、山奥に隔離されたという情報は既に伝えられたが、あまりの状況の悪さに金正恩も戦死者への補償を検討し始め、兵士家族をなだめようとしているという。
11月3日（日）「最近の北朝鮮訪問客が伝える平壌の通信事情と通信戦争」
最近、平壌を訪問した外国人が対外通信を一切使えなくなったと伝えている。以前は外国人が北朝鮮に入国すると、データローミングできる携帯電話を渡され、チップを入れ替えると様々なアプリを使ったデータ通信が可能だった。現在、北朝鮮を訪れることができるのはロシア人観光客と限られた中国人だけだが、過去にはこんなことはなかったという。観光客のみならず平壌駐在の外交官も公式の有線電話以外は一切使えなくなり大変困っている。これは金正恩の身辺保護が目的と考えられる。ただ、スターリンクなどの衛星電話を使えば、北朝鮮の通信統制と関係なく国外通話やデータ送信が可能であり、金正恩にとっては衛星電話が大きな脅威と考えられている。もう一つ、中朝国境の中国側に設置された通信基地を縮小するよう北朝鮮側から強力に申し出たが、中国側は取り合わず、中国の携帯電話を使えば今でも国境付近は通信が可能である。当然のことながら北朝鮮政府はこれを使用すれば厳罰に処すとし、多くの民間人から携帯電話を没収した。しかし保衛部や党幹部は情報を売って生計を維持するために携帯電話を利用しているのが現状である。
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳（ヨドク）強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』（淵弘訳、ポプラ社）
『北朝鮮脱出』（安赫との共著）上・下（池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫）
『さらば、収容所国家北朝鮮』（ザ・マサダ）
