11月11日(月)「トランプ時期大統領と尹錫悦大統領の電話対談」
トランプ氏が米大統領選挙で勝利し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と電話会談が行われた。第1期政権時、トランプ大統領は金正恩を一撃で倒してしまおうと発言し、金正恩をロケットマンと呼んだりした。ところが文在寅(ムン・ジェイン)政権になった途端、徐薫(ソ・フン)国家情報院長がポンペイオ長官と組んでトランプ大統領を騙し、シンガポールとハノイで会談を行ったが、ジョン・ボルトン補佐官の強力な進言により、すんでのところで合意に至らずに終わった。今回の尹大統領との電話会談で、トランプ氏は韓国の造船業に期待すると述べた。「韓国の主敵は北の人民ではなく金正恩1人である」という立場に立つ尹大統領を、トランプ氏は共同歩調を取れる相手と見なしているものと見られる。今後、韓米が協力して北朝鮮住民の奴隷状態を一日も早く解消してほしい。
11月12日(火)「丸腰の北朝鮮兵士が数千人…ロシア軍の装甲車支援なし」
ウクライナ戦に投入された北朝鮮兵士の死者が急増しているが、その原因は、ロシア軍が北朝鮮兵士に装甲車支援などの身を守る手段を与えず、丸腰状態で戦場に駆り出しているためだ。ロシア軍の戦車や装甲車はかなりの損失を被っており、ロシア兵士保護に精いっぱいで、北朝鮮兵士を保護する余裕がない。さらに、未だに人海戦術を使っているロシア軍は装甲車に北朝鮮歩兵を従えて進軍し、身を守る手段のない兵士たちはドローンの餌食となるしかない。ロシア軍上官に進めと言われれば従うしかない北朝鮮兵士は、前進して標的となるため、ロシア兵を上回る勢いで戦死者が出ているものと見られる。現在、北朝鮮兵士の多くが連絡の取れない状態にあり、人民軍の保衛局や偵察総局が、死亡したのか失踪したのかを調査しているが、なかなか確認が取れないという。
11月13日(水)「ロシア派兵戦死者を載せた北朝鮮遺棄列車が立ち往生」
現在、ウクライナ戦での北朝鮮軍の戦死者は500人を超え、負傷者も急増していると伝えられる。偵察総局長の金ヨンボク中将をはじめとする軍司令官らは戦場に赴かず、駐モスクワ大使館で戦死者の処理対応にかかりきりになっている。もともと戦死者の遺体は列車に載せて本国に送る計画だったが、北朝鮮政府から、国内の住民感情が悪化する恐れがあることを理由に、遺体を現地で埋葬するか、或いは火葬して遺骨を本国に送るよう指示が下りたという。元来、北朝鮮兵士が戦死した場合、名誉を称えられ、将校であれば人民軍参戦烈士墓地に安置されるはずだが、秘密裏に派兵され、死んでも秘密裏に処理される現実に、派兵兵士らは失望し、完全に士気を喪失し、破れかぶれになっていると思われる。
11月14日(木)「派兵された北朝鮮軍1個師団で大惨事」
ウクライナ戦に投入された北朝鮮兵士が極度のストレス状態に置かれている。まず「捕虜になるな、投降を試みる者は背後から射殺する」と言われている。さらに、ウクライナのジェレンスキー大統領は、捕虜となった北朝鮮兵はロシアの捕虜となったウクライナ兵士と捕虜交換する方針を示した。しかし、これは北朝鮮兵士にとって死刑宣告と同じことである。戦場に出ても殺される、投降しても殺される、捕虜になっても殺されるという状況の中で、自殺した北朝鮮兵士もいると伝えられている。ウクライナ軍の捕虜となったロシア兵も、北朝鮮兵士は恐怖の存在だ、ロシア兵に銃口を向けてくると証言している。北朝鮮兵士同士の間でも投降を巡り殺し合いが起こり得るし、このままではロシア軍内部で大惨事が起こる可能性もある。
11月15日(金)「金正恩が国連で人倫にもとる収容所の存在を自白」
ジュネーブの国連本部で開かれたUPR(人権に関する普遍的・定期的レビュー)に北朝鮮代表として出席した朴クヮンウォン中央裁判所長が、北朝鮮の人権状況について説明を行った。まず、死刑は殺人を犯した場合に行い、この者が反省しなかったり、被害者の家族が強い処罰を求めたりする場合には公開処刑を行っていると述べた。次に、反体制的な者、極悪非道な国家転覆を図った者は、政治犯として、一般の収監者とは別に管理所にて管理を行っていると述べた。これは政治犯収容所の存在を、間接的にだが、初めて認めたものである。これまで北朝鮮は人権侵害について一切認めたことがなかったのに、ここへきてなぜ急に人権を云々しだしたのか。一つには対北拡声器やUSBによる情報流入で、北朝鮮住民の間に人権意識が芽生え始めたことだ。もう一つは第2期トランプ政権に対応するには、核交渉だけでなく、人権問題が鍵になる可能性が生じたことである。第二次世界大戦時のドイツのアウシュビッツ収容所以降、収容所が運営される最後の反人倫的国家と言える北朝鮮が、自ら収容所の存在を認めたことは大きなターニングポイントになりうる。
11月16日(土)「3日間で200人の北朝鮮兵士死亡」
ウクライナ軍当局の発表によれば、北朝鮮兵士を含むロシア軍との戦闘が行われ、3日間でロシア軍の装甲車77台が破壊された。現在、クルスク地域に5万人のロシア軍が集結しており、そのうち1万人が北朝鮮兵である。同じ装甲車でも、韓国の場合、攻撃を受けたとしてもこれを探知して回避したり、消火設備が稼働して搭乗者の身を守る構造になっているが、ロシアの装甲車はドローン攻撃に対して非常に脆弱だ。装甲車1台には10~12人搭乗できるので、77台の装甲車には800~900人が乗っていたことになり、それが全滅したとなると約200人の北朝鮮兵が死亡したことになる。これまでの戦闘で北朝鮮兵の死者総数は1000人近くに上り、負傷者は2000人ほどと見られるので、12000人の北朝鮮派兵兵士のうち少なくとも2000人以上が死傷したことになる。
11月17日(日)「中国が逮捕した脱北者数100人を拘禁施設から休養施設に移動」
1か月ほど前に本放送で、中国国内にいる脱北者が北朝鮮に強制送還されず保護されているという情報があると伝えたが、このことが国家情報院によって確認された。コロナ禍による中朝国境閉鎖が解かれた後、600人が北朝鮮に強制送還されたが、それ以降、中国内で確保された北朝鮮離脱民の北朝鮮への強制送還が一時的に中断されているという。中朝国境付近の大規模水害の復旧作業に数十万人の青年たちが駆り出されたうえ、水害で脱北防止用の施設が流されたまま復旧されていない中、中国への脱北者が大量に発生している。北朝鮮がロシアと強く結びつくことを嫌う中国にとって、脱北者を北朝鮮の望み通りに強制送還する必要はもはやない。さらに最近、中国政府は韓国人旅行者へのビザ免除を発表し、韓国との関係改善を望む姿勢を見せている。この際、国際難民条約の加入国である中国は、脱北者を難民と認め、彼らの自由意思を尊重した方策をとるべきである。
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)