11月25日(月)「新義州水害復旧工事に投入された青年ら数百人が脱北」
本放送で1か月ほど前、中朝国境で大規模な脱北が発生する可能性を報じたが、最近、韓国の大手マスコミで、それが現実に起こっていると報道し始めた。新義州の復旧現場の劣悪な労働環境に内陸部から動員され働かされている青年たちが、次々に国境の川を超え始めているのだ。脱北者を強制送還していた中国が、今のところ強制送還を控えているという情報が広がっていることも、脱北を後押ししている。北朝鮮は冬には極寒の地となり大きな川も凍る。そのため、この夏に大洪水に襲われて農業が壊滅し、経済的にも疲弊し、おまけに脱北防止施設も流され復旧がままならない中朝国境で、川が凍るこの冬には大量の脱北者が発生するものと予想される。
11月27日(水)「ウクライナ戦参戦した上級将校が死亡…共に戦死した女性の正体は?」
ウクライナ軍によるストームシェイド・ミサイルの攻撃で北朝鮮の上級将校が負傷したと報道されたが、その後まもなく死亡したことがわかった。この攻撃では500人が死亡し、2000人が負傷したとされ、死亡した上級将校(シン・グムチョル)の傍らにいた若い女性も死亡した。当初この女性は通訳だと報道されたが、実は、北朝鮮の上級幹部が必ず付き従える看護師である。もちろん看護師とは名目で、実態は慰安婦、喜び組といってよい。ストームシェイド攻撃を受けた際、リ・チャンホ偵察総局長とキム・ヨンボク副総参謀長はモスクワにいて難を逃れた。しかし北朝鮮人民軍の少将、大佐、中佐、少佐、そして指揮官数十人が一度に爆死したことで、ロシア軍に配属されているとはいえ、常に北朝鮮指揮部に報告が上がり指示を下していた指揮系統が大打撃を受け、統制が揺らいでいる。当初は訳も分からず死傷させられていた北朝鮮兵士たちも、事情が分かり始めて戦意を失い、軍の統制が揺らぐ中で、投降だけが希望となっているに違いない。
11月28日(木)「ミサイル1発で北朝鮮暴風軍団2千人が死傷…遺体回収に大わらわ」
英国製のストームシェイドは地上だけでなく地下バンカー、地下貯蔵庫などを徹底破壊する高性能ミサイルである。ウクライナによる最初の攻撃が、北朝鮮兵士が集結していた陣地を打撃し、多数の暴風軍団を含む500人が一瞬で死亡したと伝えられる。北朝鮮大使館は本国から応援の人員を受け入れ、遺体の回収・処理に追われている。戦死者は火葬して本国に送ることになり、既に一部は無言の帰国を果たしたと見られるが、これに北朝鮮社会がざわつきだしている。これまでに派兵された12000人の兵士の約半数が死傷したと見られ、北朝鮮ではさらに5万人が追加派兵の準備に入ったと伝えられる。現代戦に不慣れで時代遅れの人海戦術により多くの兵力を失ったロシアが、これを補う兵力を北朝鮮に求めたわけだが、北朝鮮兵士の受ける被害は今後さらに拡大するものと見られる。
11月29日(金)「北朝鮮に再入国した脱北者の生死不明…国際人権団体は追及せよ」
金正恩体制になってから北朝鮮に再入国した脱北者が33人いると韓国統一部が発表した。彼らは北朝鮮に入国後、行方不明、生死不明だという。中には自ら再入北したという人もいるが、大抵は何らかの形で誘導されたり拉致されて再入北したものと見られる。韓国でもテレビ出演して有名だったイム・ジヨン氏は、北朝鮮でも放送に出演して韓国を誹謗する発言を行っていたが、現在は姿を見せていない。北に戻った韓国経験者には、友だちを装った監視者が付けられ、うっかり韓国の豊かさや北政府への不満などを口にすると政治犯収容所に送られるという仕組みになっている。最近の情報によれば、脱北者の家族を111号対象者と規定し、監視・監督する部署が国家保衛省内にできたという。さらに、「統一部」と言っていた部署が「対戦局」と改称され、韓国文化の蔓延と対決し、壊滅させる事業に取り組んでいる。一度韓国で自由な社会を経験した者は、北朝鮮にとって厄介な存在であるため、彼らの身辺は危険に曝されている。韓国政府は彼らの生死・行方を確認すべきだし、国連人権高等弁務官や各国の人権団体などは彼らの人権状況に対し声を上げてほしい。
11月30日(土)「中国が北朝鮮行きのコンテナ50個押収、北朝鮮の関係者雲隠れ」
ロシアと接近した北朝鮮を見限った中国が、北朝鮮が中国を通じて輸入しようとした4億ドル相当の物品を押収し競売処分にかけたことを、9月の本放送で伝えたが、今月25日、中国の山東省から北朝鮮の南浦に向けて積み出そうとしていた50個のコンテナを、中国当局がまた押収した。中国公安は積み出しに関わった中国人官吏5人を逮捕したが、加担した北朝鮮の外交官や軍出身の外貨稼ぎ部隊幹部ら約10人は逃げて行方をくらました。彼らは中国公安に捕まることを恐れたというより、金正恩の1号物品はじめ保衛部、総政治局、内閣などあらゆる北朝鮮政府部署の1億ドル相当と推定される物品を奪われ、北朝鮮に帰ればただでは済まないため逃げたのではないか。50個のコンテナ押収は金正恩政権に致命的な打撃となったことは間違いない。
12月1日(日)「追加派兵に北朝鮮兵士の怒り爆発…喧嘩・発砲・脱営相次ぐ」
金正恩が人民軍総政治局を通じて人民軍のロシア派兵を公式に認めた。北朝鮮メディアには発表されていないが、人民軍内では「実戦訓練ができる機会であり、誰でも行くことができるし、誰もが行くべきだ」と広報しているという。これは、ウクライナ戦での兵力喪失が予想以上に早く進んでおり、兵力補給に急を要するが、暴風軍団のような特殊部隊はもはや派兵を拒んでいるため、兵士の種別を選んでいる場合ではないということだ。さらに派兵兵士たちへの報酬と死傷した際の補償をケチるために、派兵を「実戦訓練のため」だと言っているのだ。お金と地位のある家庭では、息子が派兵されないようあらゆる手段を使っているが、一般兵士の親は、息子が海外に派兵されればいくばくかの手当や補償を受けられるのではないか、という淡い期待をまだ持っている。しかし派兵の実態が分かってきた人民軍内では、自分は行きたくない、お前が行けと喧嘩になったり、発砲事件があったり、兵士の脱営も急増しているという。いまや北朝鮮社会全体に、金正恩が兵士1人の派兵でロシアからいくら受け取るのかを伝え、住民の怒りを積極的に引き出すべきだ。
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)