12月16日(月)「最前線の北朝鮮兵士、韓国軍の目前で鉄塔から墜落!」
休戦ライン近くに建つ送電塔が、塔によじ登った兵士もろとも倒れる場面が韓国軍の望遠レンズに捉えられた。首都平壌への電力を滞りなく供給するには、鉄塔や送電線の整備が必要だが、中国からの輸入に頼っていたそれらの物資が、現在は北朝鮮に入ってきていない。そのため、休戦ライン近くの送電塔を解体して平壌に移築しようとしたのだ。この送電設備は、韓国との合弁で運用していた開城(ケソン)工業団地に電気を送るため、韓国から9千億ウォンの資金を投入して設置したものだった。その送電塔に兵士たちがヘルメットや安全ベルトなどの装備もなしによじ登り、送電線を撤去した際、バランスが崩れて鉄塔が倒れ、作業中だった兵士たちが巻き込まれたのだった。
12月17日(火)「選挙管理委員会の信じがたい利敵行為明るみに?!」
大韓民国が危機に瀕している。これまで選挙に不正があったと主張する人はいたが、まさかそんなものはあるまい、と思う人が多かった。しかし、昨日の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の談話を聞いて考えを改めさせられた。監査院が、選挙管理委員会のサーバーのセキュリティに問題があるようだから確認させてほしいと要請したところ、自分たちは独立機関だからサーバーを見せることはできないと拒否したという。しかし、専門家が外部から接続を試みたところ、簡単にサーバーに接続でき、データを操作することができた。ファイアーウォールもなく、暗証番号も「12345」だったという。そのうえ選挙管理委員会では長期にわたり家族、親戚など身内の不正採用まで繰り返していた。民主主義の根幹である選挙システムが全く無防備に外敵に晒され、結果として巨大野党が生まれ、その横暴により韓国政治が混迷の渦中にある。尹大統領はその実態を看破し、現状を是正して国家運営を正常化するために非常戒厳令を発動したのだ。尹大統領にはこの闘いを最後まで完遂してほしいし、心ある韓国民は全力で尹大統領を支持し守り抜くべきだ。
12月18日(水)「咸鏡南道で除隊軍人らの大乱闘事件発生」
新義州、江界、満浦などは水害後の食糧不足と治安の悪さが既に報道されているが、これに次ぐ食糧難と治安悪化を抱える咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)の検徳(コムドク)地区で大規模な乱闘事件が起こった。この地域はマグネサイト、鉛、亜鉛などを生産する代表的な鉱工業地帯だが、2020年に4000人の死傷者を出したという大規模水害に遭って以来、復旧が進まず、生産活動も停止している。そのため食糧が不足し、空腹を抱えた除隊軍人や高校卒業者が徒党を組んで無法行為を繰り返していたが、ついに大規模な乱闘騒ぎに発展し、警察隊が駆けつけて発砲までしたが抑え込むことができなかったという。これは単発の事件なのか、それとも暴動なのか。これが民衆蜂起に発展しないとも限らない状況である。
12月19日(木)「露骨に派兵を拒否する暴風軍団…国境を越える集団脱走」
暴風軍団といえば北朝鮮軍の精鋭だが、ロシアに派兵されウクライナ戦争に投入されることを恐れて夜逃げする兵士が続出している。党幹部や経済力のある家の子弟はあらゆる手を使って軍団から離脱しており、残っているのは権力も財力も何もない兵士たちである。彼らが派兵されて弾除けとして殺されるより、逃亡して捕まって殺される方がましだと考えるのは自然なことだ。暴風軍団の中には両江道で国境警備に当たった部隊があるが、彼らは国境の状況をよく知っているし、武器も持っているので、その気になれば川を渡って脱北するのは難しいことではない。軍内部の統制は緩んでおり、自分が死んでも家族が補償金をもらえるわけでもない兵士たちの怒りが高じる中で、集団脱走が増加している。
12月20日(金)「錦繍山太陽宮殿で軍幹部が大失態… それを朝鮮中央放送が放映」
金正日の命日である12月17日、先代の遺体が安置された錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を、金正恩が党幹部らを引き連れて訪れた。ところが、遺体に拝礼する際、随行した軍幹部らの拝礼がちぐはぐで、中には直立したままの幹部もいた。本来なら決められた方法で一糸乱れず参拝すべきところを、事前の打ち合わせも練習もなかったのか、見苦しいことこの上ないものだった。この幹部がその後どうなったかは推して知るべしだが、さらなる問題は、その様子を国営放送が編集もせず、そのまま放映したことだった。以前、金正恩が話をしている最中に、メモを取っていたペンを取り落とし、それを拾うため身をかがめた副総理を、スパイだと決めつけて銃殺に処したことがある。それほど集団秩序に厳しい北朝鮮だったが、今回の件で、いかに統制が緩んでいるかを窺い知ることができる。
12月21日(土)「中国で逮捕した脱北者に臨時居留証…金正恩除去カードを切ったか?!」
今年の夏ごろから、中国で捕まった脱北者が北朝鮮に送還されていないと言われていたが、最近、中国政府が脱北者に臨時の居留証を発給していることが確認された。北朝鮮政府は中国政府に脱北者の送還を強く要求していたが、ある時期から突然、送還される脱北者がいなくなった。新義州の水害復旧のために30万人の大学生が動員されたが、彼らの中から日々数十人が脱北していると言われていた。彼らは中国当局に逮捕された後、中国国内の労働現場に移動させられ、働く代わりに臨時居留証の発給を受けているのだ。条件として1週間に一度、そこで働いていることを届け出ればいいのだという。脱北者が強制送還される代わりに中国の人手不足を補っている形だが、これによって彼らは生存を保障される。さらに不法滞在を合法滞在者に転換することで中国内の治安向上にもつながる。一方、北朝鮮にとっては、脱北阻止が体制維持の重要な鍵だったため、それが崩れれば体制崩壊の可能性が高まる。反体制活動を行っても危なくなれば中国に逃げればよいため、反体制の動きは活発化するだろう。金正恩体制が危うくなることを見越して中国がそのような政策転換を決めたのは、北朝鮮がロシアと相互防衛条約を結んだことが原因だろう。北朝鮮が中国の国益を損なう裏切りを行ったとして、習近平主席が最終カードを切ったのだ。中国政府はまだ脱北者強制送還中止を公式発表していないが、これが公になれば北朝鮮に致命的な変化が起こるに違いない。北朝鮮を中国式の改革開放に転換させれることができれば北朝鮮住民は歓迎するのではないか。
12月22日(日)「30代の金与正が50代と見まがう姿で登場…不治の病か麻薬中毒か」
かつて北朝鮮の権力第2位とされた金与正(キム・ヨジョン)が、見るも哀れな姿でカメラに捉えられた。金正恩の執権当初は権力の最上部で采配を振るっていたが、姪の金ジュエの登場や、金正恩のいる前で平気でスマートフォンをいじる玄松月(ヒョン・ソンウォル)、そして息子を生んで威厳を増した李雪主(リ・ソルチュ)らの存在に押されている。そのストレスから、或いは体調不良をごまかすために、麻薬に手を出したのではないか。金正恩の伯母の金敬姫(キム・ギョンヒ)が夫の張成澤(チャン・ソンテク)を殺された後、惨めな人生を送ったことを考えれば、彼女の今後は推して知るべしである。哀れな金与正も思い切って南にやって来て、それなりに罪滅ぼしをすれば、韓国社会も受け入れるのではないだろうか。
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)