2月17日(月)「体調悪化の金正恩、死の恐怖に怯えているのか?」
2月9日に放映された映像に、平安南道江東郡にある別荘に行った金正恩の姿が映された。体重150kgと言われた時よりさらにむくんで170kgぐらいに達するのではないかと思われる。映像には演説する声も入っているが、声に張りがなく歯切れも悪い。また、金正恩専用の全く同じベンツ・マオバウが2台映っており、金正恩が車から降りると、まだ走っている車から警護員が飛び降りて警護に駆けつける。周辺に何もなく、人もいない場所で、多くの警備員が周囲を取り囲む様子を見ると、よほど襲撃されるのが恐ろしいのだろう。いずれにしても、何らかの形での死期が近いことを感じ、恐怖に怯えているのではないか。
2月18日(火)「北朝鮮の金塊、売却途上で刃傷沙汰の末、持ち逃げされる」
現金の不足に悩む北朝鮮では、手持ちの金塊を売却して凌いでいる。金正恩の資金管理部署である39号室や財政経理部、中央党秘書などが、それぞれ割り当てられた金塊を中国の密輸業者に売却するのだ。そんな中、昨年12月24日、約150万ドル相当の金塊を載せた船から、中朝間の公海上で中国の船に積み替え、これを中国・丹東の業者に引き渡すべきところ、この中国船に乗ったヤクザ者たちが、丹東の業者を片っ端から切りつけ、7人を死亡させ、3, 4人を負傷させて金塊を持ち逃げしてしまった。北朝鮮側から中国政府に捜査を依頼したが、そもそも北朝鮮の金塊の輸入は違法であるため、事件解決の見込みはないものと見られる。
2月19日(水)「地方の労働党幹部の集団性接待、少女たちまで収容所行き」
2月6日の本放送で、平安南道温泉(オンチョン)郡党幹部の麻薬・淫乱パーティーと慈江道雩時(ウシ)郡監察機関による住民への横暴が摘発され、組織の解散までに至った事件について伝えた。その後の情報によれば、これらの地域の社会安全省幹部と監察機関が根こそぎ逮捕され、収容所に送られたり、処刑されたり、追放されてしまったため、地域全体が葬式状態になってしまったという。
2月20日(木)「最前線の人民軍が数百人逃亡…もう耐えられない!」
周知のとおり、休戦ライン付近では韓国側から北朝鮮に向かって拡声器放送を鳴らしているが、北朝鮮側は自軍兵士に放送が聞こえないよう妨害するため奇怪な音を大音響で流しており、その音に精神的に耐えられなくなった北朝鮮兵士の集団逃亡が増加している。もちろん休戦ラインの南へは逃げられないので、北へ西へ東へと逃げ、身を隠している。北朝鮮軍は四方八方を捜索し、兵士の出身地で待ち伏せするなど手を尽くしている。逃亡兵は、逃げながらロシア派兵の事情など、休戦ラインで知り得た情報を伝播する役割を果たし、全国的な不安定要因となっている。
2月21日(金)「ウクライナ戦で捕虜となった北朝鮮兵のインタビュー公開」
ウクライナに捕虜として捉えられている北朝鮮兵士のKBSによるインタビューが公開された。最初に公開されたインタビューでは、自分たちその後の身の振り方に迷いが見られたが、今回は様々な情報に触れたせいで韓国への帰順を決めたようだ。インタビューによれば、彼らは行き先も伝えられず、家族にも派兵のことを伝えられず、戦闘に投入される際、「ロシア=ウクライナ戦争に韓国軍が介入した、韓国軍を倒すつもりで戦え」と命じられたという。他の情報に接する機会のない純朴な彼らはそれを信じ、言われるままに行動した。26歳の狙撃手は黄海北道の偵察総局に勤務したが、10年間両親に会っていないと言う。また、自分たちの部隊は全滅し、生き残ったのは自分だけで、遺体を運搬することもできなかった、彼らは北朝鮮軍エリートの偵察総局所属の特殊部隊員であるのに、ドローンを駆使した現代戦では一方的にやられるばかりで全く無力だったとも述べた。
2月22日(土)「金与正の夫に国民の関心が集中、ついに権力闘争に突入か!?」
今年正月、金与正が党の公式行事に初めて子供たち2人を連れて出席した。それ以来、北朝鮮の住民の関心が金与正の夫に集中している。巷の噂によれば、金与正の夫は180cmの長身で人民軍総政治局副部長だと言われ、一時は、崔龍海の息子だとか、39号室幹部の息子だとかとの噂があったが、我々が把握したところによれば、かつて金正日が金正恩を無理やり最前線に送り込んで6か月の軍事訓練を受けさせていた時、他の兵士たちにいじめられていた金正恩を助けてくれた副分隊長の青年だったという。当時はその純粋さと忠誠心を気に入って金与正と結婚させたようだが、現在、国家の第2人者である金与正の夫が、若い頃のままの純粋さと忠誠心を保っているとは思えない。金正日の妹・金正姫の夫・張成澤がどのように権力を握り、どのように悲惨な最期を迎えたのかは誰もが知っている。北朝鮮の住民は、ついに当代の権力闘争の幕が上がったと固唾をのんで注目しているのだ。
2月23日(日)「平壌の現場から送られてきた映像…史上最悪の生活苦」
最近入手した平壌の現実を伝える動画を見ると、北朝鮮の人民の暮らしが限界に達したことが分かる。動画を公開すると、内容によって撮影者が特定される恐れがあるため、公開はできないが、平壌市民の現実の姿を推し量ることができる。まず、1ドルが、2023年までは8,000₩だったのが、現在は15,000₩となり、1キロの白米が以前は5,000₩だったのが、現在は8,000₩から1万₩だという。一般労働者の月給が5,000₩なので、3カ月働いても米を2キロ買うことができないのだ。金正恩は、国家が米を統制し、人民は配給を受けろと言うが、米を国家が独占し、政権幹部、上級官吏などから順に配給するため、一般人民には回ってこない。昨年夏の水害ので被災した子供たちは、平壌に招待され、しばらく歓待を受けたが、再び故郷に戻った後は、食糧不足に苦しみ、コッチェビ(浮浪児)のような生活に転落した子供が多いという。
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)