「ピョンヤン24時」ダイジェスト 2025/04/21-04/27

ピョンヤン24時

4月21日(月)「プーチンの招待を金正恩が断る?!…ロシアとの仲もいよいよ?!」

プーチン大統領がロシアの戦勝記念日の式典に金正恩を招待する招待状を送ったが、北朝鮮側は回答しておらず、事実上、断ったものと見られる。北朝鮮とロシアは戦争遂行のために接近し、北朝鮮はそれなりに報酬を得たが、ロシア国内は経済的に窮地に追い込まれている。この3年間、北朝鮮からの支援として不良品の銃弾・砲弾が送られてきたが、文句も言えずそれを使うしかなかった。というのも、ロシアにとって3万人の北朝鮮の精鋭部隊は起死回生の望みだったからだ。ただ、それをいいことに金正恩はプーチンに対し、偵察衛星、原子力潜水艦、首都防空システム、戦闘機など、多大な要求を突き付けてきた。これに対し、ロシアから防空システムや戦闘機などが提供されたが、いずれも時代遅れの古物であり、現代戦には役立たないものだった。ロシアの戦勝記念日には世界各国の指導者が一堂に会するし、もちろん習近平も出席する。そこに金正恩が来れば世界の注目を浴びることになるため、プーチンは金正恩に是非来てほしいと申し入れた。これを金正恩が断るのは、1つはロシア派兵への見返りが十分ではないということ、もう1つは金正恩が平壌からモスクワまで行く交通手段が列車しかなないことにあると思われる。列車で移動するには片道7日かかるため、往復と数日間の滞在で18日は平壌を開けることになるが、現在のように北朝鮮内で反体制の動きが活発な時に、それはできない。仮にプーチンが専用航空機でもプレゼントしてくれれば行くかもしれないが、現実的ではない。さらに、戦勝記念日に出席する習近平と出くわすことになるため、それは避けたいに違いない。

[특종] 푸틴 간곡 요청 김정은 거절...갈등 격화의 시작?
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4月22日(火)「北朝鮮の権力第2位・趙甬元が失踪?…『表裏のある偽善者』」

最近、北朝鮮権力の序列第2位の趙甬元(チョ・ヨンウォン)の姿が見えないことが、各種メディアで話題になっている。粛清されたのか、革命化区域に入れられたのではないか、など、憶測が飛び交っているが、我々が平壌の情報筋に取材したところでは、粛清ではないが、粛清に近い処罰を受けたことは確かなようだ。不正腐敗を行ったため、金正恩が「表裏のある偽善者め!」と激怒し、謹慎させられているという。では、趙甬元とはどんな人物か。彼は非常に緻密で繊細な人で、マナーもよく、除隊軍人出身で物理学科出身だが、乱暴なところや腹黒いところがない。だからこそ、長期間、安定して金正恩側近として勤めてきた。彼自身は裏金を直接受け取るようなことはしないが、側近が彼の引退後のために密かに蓄積してきたのが、怪しい金の流れを調査する際に表面化したようだ。金正恩は、政権初期に多くの幹部を処刑したことで周囲が動揺したため、最近は著名な人物を簡単に処刑したりできない。ただ、金の生じるところに権力集団が形成され、表には現れないが、それらの間で勢力争いが起こるため、互いに牽制する動きが働いたのだろう。

[단독] 북한 권력 서열 2위 조용원 실종...김정은 격노 '겉과 속이 다른 위선자'
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4月23日(水)「崔龍海がパワーエリートを組織し権力を握っただと?」

韓国国会の立法調査処が、今月10日、「北朝鮮エリート内の権力構造の変化と示唆点」という報告書を発表した。これによれば、崔龍海(チェ・リョンヘ)を中心に支配エリートの単一後見体制が確立された、つまり実質的に崔龍海が権力を掌握したため、金正恩のむちゃな粛清政治が中断されたのだという。崔龍海は、確かに張成澤や金正日に最も近かった人物で、金正恩にとっては叔父さんのような位置にある。金正日のために喜び組を作り、彼自身も変態的な趣向を発揮していたことは有名だ。また、金正日から金正恩を後継者とするため尽力せよという遺言を聞いたのが、張成澤、金京姫と彼の3人だった。そのため金正日政権初期に、彼は人民軍総政治局長の座に就いていた。さらに、張成澤処刑の際、金京姫は反対したのに、崔龍海は金正恩の側につき、結果的に長期間、権力の頂点にいたことは事実だ。しかし、現在彼は最高人民会議常任委員長という韓国の国会議長に当たる職責に就いているが、韓国の国会とは違い、金正恩に言われるままに仕事し、何ら実質的な権力を持たない地位である。過去に金英南(キム・ヨンナム)もこの地位に就いたが、名目だけで何の力もないお飾りだった。従って、崔龍海も形だけの委員長であり、長年の経歴により数多くの人脈を持っているとしても、指導権を掌握するなどあり得ない。立法調査処の報告書は、趙甬元の役割縮小は崔龍海の権力掌握と関係があるとしているが、見当違いだ。このような判断の誤りは、北朝鮮の権力構造を韓国式に解釈するところからきている。こんなことだから北朝鮮に対して効果的な政策を実施できないのではないか。

[특집] 최룡해 김정은 제치고 모든 권력 장악했다고?
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4月24日(木)「天安艦撃沈の主犯・金英徹ついに粛清さる」

2011年に韓国の哨戒艦・天安(チョナン)を撃沈し46人の韓国軍人を死亡させた事件の責任者である金英徹(キム・ヨンチョル)が粛清された。最近の脱北者の証言によれば、ハノイ会談の帰途の列車の中で、金正恩がウィスキーをがぶ飲みしながら金英徹をけちょんけちょんに罵倒したという。この後、統一戦線部や外交部の責任者ら5人が密かに処刑されたが、本来、最も責任を取るべき立場だった金英徹は生き延びた。なぜ命拾いしたかというと、金正恩・金与正の母である高容姫(コ・ヨンヒ)に忠誠を尽くした人物だったためである。金英徹は頭が良いわけでも能力があるわけでもなく、幸運にも天安撃沈に成功にしたことが唯一の手柄だった。ハノイ会談の前には、米国に渡って両首脳の親書を受け渡しする役を果たしたが、その過程で判断ミスを犯し、金正恩の怒りを買った。2024年5月8日に姿を現したのを最後に、7月8日の労働党全員会議には統一戦線部顧問として名簿に上がりながら本人が現れることはなく、その後姿を見せなくなったところを見ると粛清されたものと思われる。

[특종] 천안함 주범 김영철 드디어 숙청...울고 불고 아부했지만 결국
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4月25日(金)「プーチンに騙された金正恩…北朝鮮内部で非難ごうごう」

北朝鮮はウクライナ戦に際して、兵器、兵力の全面的支援を行った。もちろん、兵器はいずれも骨董品であまり役に立たなかったが、3万人の兵士は、ロシアがクルスク地域を奪還するのに大きく貢献したことには間違いない。その対価として北朝鮮が要望したのは偵察衛星、地対空ミサイル、首都防空システムなどだった。しかし、実際に送られてきたものが、現代戦への対応可能なレベルに達していないことが、北朝鮮の軍事専門家の間で認識され始め、プーチンに騙された金正恩に対する非難が沸き起こっている。偵察衛星は要望した5機のうち1機しか打ち上げられておらず、平壌に地対空ミサイルS300が3基が導入されたが、これは完全に時代遅れである。もちろん朝鮮戦争の時に使った高射機関銃を未だに使っている北朝鮮にとっては、ないよりましではある。しかし、イランによるイスラエル攻撃は99%迎撃され、これに対する報復として、イスラエルのステルス戦闘機S35は、地対空ミサイルS300を3基備えていたイランを焦土と化してしまった。現在、世界ではS400が主流であり、ロシアではS500という最新バージョンをモスクワに装備し始めたという。朴槿恵政権の時に韓国がステルス機S35を導入した際、北朝鮮軍内で飛行士に対しS35についてのレクチャーを行ったところ、その性能を知った途端、受講者が恐怖で固まってしまった。そのため、その後はS35の性能を教えてはいけないことになったという。3万人の兵士の命の代償として使い物にならない3基のS300を導入した金正恩政権に、軍内部や科学者らから非難がごうごうと湧き起こっている。

[특종] 푸틴 김정은 목숨 놓고 완벽하게 장난쳤다...북한 내부 비난 폭발
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4月26日(土)「清廉なふりをしてベンツに麻薬、不正にまみれた第2の権力者一家」

すでに趙甬元の謹慎処分に関する情報をお伝えしたが、後続取材で得られた最新情報をお届けする。表面的に趙甬元自身は汚職に手を染めたりしない人物だとされるが、彼の家族や周囲の近親者らはどうだろうか。金正恩が家族を調べるよう指示したところ、息子は麻薬に手を出し、娘はベンツを乗り回し、賄賂を受け取っていたことが分かった。しかしより重要なのは、趙甬元が掌握している党組織指導部が、傘下の貿易会社の対ロシア貿易での利権を管理する位置にあることだ。そこから得られる利益のかなりの部分が、趙甬元自身ではなく、その周囲に流れ蓄積されるようにしてあったのだ。2月に問題となった雩時(ウシ)郡、温泉(オンチョン)郡の不正腐敗事件の際は、趙甬元が先頭に立って腐敗幹部らを逆賊と強く批判していたが、蓋を開けてみると彼自身が腐敗の温床だったということで、金正恩が『表裏のある裏切り者』と称したのだ。ところで、今この時期に趙甬元を討つのはなぜだろうか。それは金正恩政権の後継者構図が固まりつつあり、後継者擁立に当たり、趙甬元を抑えておく必要があったのではないかと推察する。

[특종] 벤츠 마약 비리 '반역자' 된 권력 서열 2인자 조용원 부부 큰일 터졌다
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4月27日(日)「北朝鮮労働者が中国からロシアへ移動?韓国人は無ビザで中国歓迎」

中国内に滞在する北朝鮮人は14万人と言われていたが、このうち7, 8万人が今年初めごろからロシアに移動しているようだ。中国による退去命令にも関わらず北朝鮮に帰ろうとしなかった人々が、急に帰国するといって退去した後、ウラジオストクからロシアに入って行っているのだ。既にロシアの労働現場には北朝鮮人が大挙して投入されている。これは中朝関係と中ロ関係の現在を如実に物語るものだ。金正恩は、中国との関係がダメならロシアに行けばいいと思っているのかもしれないが、国家間の関係はそんな簡単なものではない。金日成の誕生日行事に在北京北朝鮮大使館を封鎖したのは、習近平が金正恩のこのような短絡的な対外政策に腹を立てたからだ。また中朝国境の密輸を徹底的に取り締まり、北朝鮮の公安関係者を中国の安全部が徹底的に監視し、ほとんどスパイ扱いしている。その一方で、韓国からの観光客にはビザを免除し、韓国人に対しては反スパイ法の適用を緩めてやっている。2015年に玄松月が楽団を率いて北京に行った際、現地で問題を起こして帰ってきた時、金正恩は「よくやった」と、中国と渡り合った玄をほめたというが、まるで子供の喧嘩だ。さて、ロシアに移動した北朝鮮労働者が、今度はロシア国内で職場から離脱する例が相次いでいる。もともとロシアは国連難民条約に加入しているため、難民を保護する義務がある。ウクライナ戦のため現在はこの措置を行っていないが、戦争が終わってロシア国内が正常化すれば、彼らを難民として保護し、本人が希望すれば韓国に送ることも考えられる。ウクライナ戦が終結したら、韓国政府は速やかにロシア政府や国連難民弁務官事務所と緊密な接触を持ち、韓国行きを希望する北朝鮮人を受け入れる体制を整えるべきだ。

[특종] 중국 북한인에 '간첩법' 적용 '다 내쫓으라'...한국인 입국은 환영 자유 보장
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「ピョンヤン24時」ダイジェストについて

姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。

평양 24시
평양24시는 김정은 정권의 중심인 평양을 중심으로 북한의 핵심정보들을 취재해 제공하는 TV입니다. 강철환 전 조선일보 기자와 전 언론기관 출신 편집자, 북한학 박사, 북한의 최고위층 엘리트, 핵심 전문가들과 함께 북한을 포함한 동북아시아 문제에 대해 심도있는 분석과 보도를 할 예정입니다...

姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。

邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)

姜哲煥氏関連書籍(Amazon)

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