2025/6/9(月)「1年間姿を見せないファーストレディ李雪主、玄松月はどういう存在?」
主要行事にいつも同行していた李雪主(リ・ソルチュ)が1年間姿を見せていない。その原因については色々な憶測が飛び交っている。李雪主には金ジュエのほかに、男の子が2人いるものの心身の健康に問題があると言われ、今回4人目の子を妊娠した可能性がある。あるいは、逆に金正恩から遠ざけられた可能性があるだろう。最近の公式行事で金正恩の周りに姿を見せるのは玄松月(ヒョン・ソンウォル)である。2月24日の金日成政治大学訪問にも玄松月が同行した。去年夏、中朝国境の水害の際、新義州を視察するためボートに乗った金正恩に同行したのも玄松月だった。これは、玄松月が男の子を生んでいたとすれば、その子を後継者に据えるための準備作業だともとれる。三代にわたる金一族の女性関係はみな複雑で、その女性同士の権力争いもまた凄まじいものだった。今また、それが本格化し始めているのかもしれない。(2025年2月27日付動画の再放送)

2025/6/10(火)「南北境界海上を越境した北朝鮮漁民、帰国希望も北政府受け入れず」
最近、漁船に乗った北の住民が韓国にたどり着く例が増えている。3月27日には2人、6月5日には4人の身柄が確保された。彼らはなぜか一様に北に返してくれと言っている。ところが、北朝鮮政府が受け入れを拒否している。彼らが北に帰らせてくれと言っているのが本心なのか、或いは脱北したいが万が一失敗した場合に備えてなのか、或いは北にいる家族を守るためなのかは不明だ。それにしても、本人が帰りたがっているから送り返すと言っているのに、北朝鮮が受け入れを拒否しているばかりか、何の反応も示さないとはどういうことだろうか。昨年、南北は同族ではなく二国家であり敵対国だと宣言したが、脱北者であれ漂流民であれ、とにかく一度韓国と接触を持った者とは一切縁を切るというのだろうか。北朝鮮国内に何か異常な変化が起きているか、或いは金正恩自身の精神状態が異常をきたしているのではないか。親北の文在寅政権(2017~2022)の時と同様、今回、韓国に親北政権ができたことで、北から南に越境した者は強制送還されると思っていたら、北の方で一切受け入れないとなれば、脱北を考えている北の住民は希望を持つことになるだろう。

2025/6/11(水)「延坪海戦を経験した北朝鮮兵士の告白…韓国軍が羨ましかった」
かつて北朝鮮軍と韓国軍の間で海上交戦したことが何度かあるが、この戦闘を体験した北朝鮮兵の韓国軍に対する見方をご紹介する。いちばん最近の海戦は2020年に起きた延坪(ヨンピョン)海戦だ。2002年の第1次延坪海戦の時、韓国軍では7人の負傷者と高速艇に軽微な損傷を負っただけだったが、北朝鮮軍は魚雷艇1隻と警備艇1隻が沈没、警備艇1隻が損傷を負い、100人ほどの兵士が死亡した。これに報復するために北は第2次戦闘を決意し、狙撃手を配置するなど万全の準備をしたうえで集中砲火を浴びせた。これにより韓国側の高速艇が大破、6人が死亡し、18人が負傷した。戦死者の多くは北の狙撃手に頭を狙われたものだ。北側は13人が死亡、25人が大けが、38人が軽いけがを負ったと公式発表したが、脱北軍人の話によれば、死者は50人を超えるという。これらの戦闘を通して北朝鮮軍兵士が感じたのは、北の兵士は攻撃を受けるとたちまち崩れるのに、韓国兵は撃っても撃ってもなかなか倒れないことだったという。これは北の兵士に支給されない防弾チョッキを韓国兵は全員が身に着けているためだ。北では兵士に支給すべき軍服・軍靴さえ不足しているほどなので、公表されている北の特殊部隊の写真を見ても、誰も防弾チョッキを装着していない。金正恩を警護する10万人の警護部隊も同じである。北の兵士の命は虫けらほどにしか考えられていないため、高価な防弾チョッキを支給するに及ばないということだ。韓国ではすべての兵士はもちろん、現役を終えた予備役にも防弾チョッキが支給されている。特殊部隊にはより高性能で軽量化された防弾服を着用させている。北朝鮮は核やミサイルを作ることで武力を強化しているが、真の国力は人命をいかに守るかにかかっているのではないだろうか。

2025/6/12(木)「北朝鮮のテレビに韓国国旗が初登場!住民は興味津々」
金正恩の肝いりで制作されたテレビドラマに、なんと「太極旗(韓国国旗)」が登場し、北朝鮮住民を驚かせた。映画の中では人民軍が太極旗を破る場面が出てくる。太極旗は植民地時代にもあったのでお年寄りには覚えがあるだろうが、太極旗を見たこともなかった大部分の住民は興味深々だという。ドラマの題名は『72時間』という。北朝鮮では1950年6月25日午前3時に南から侵略が開始され、午前5時に金日成が反撃を命じてから3日目、つまり72時間でソウルを占領したとされている。その72時間の間に起きた実話を再現した映画だというが、もちろん朝鮮戦争を韓国が起こしたということ自体でたらめである。ドラマの中では金日成と共に戦った英雄を、だらしない男として描いたり、金日成の指示に従わずに進撃した部隊が全滅する場面を、臨場感満点に描き、首領の領導体系の重要さを示している。たが、同時に、常に北朝鮮軍が勝つ場面ばかりだったドラマに、大敗の場面を映し出したことは、ある意味、金日成を卑下するものでもある。結局、金日成より自分の方が優れており、もし今戦争が起きたなら、72時間よりはるかに速やかに南を占領できるという妄想を住民に植え付けるためのものだろう。ところで、なぜ今、朝鮮戦争ドラマなのか。我々脱北者団体は2016年に封切られた『仁川上陸作戦』という韓国映画のDVDを北朝鮮に大量に散布してきた。朝鮮戦争に関する事実の誤りと誤った歴史観を正すためだったが、金正恩がこれに対抗して『72時間』を制作させたのだろう。(2025年1月22日付動画の再放送)

2025/6/13(金)「金平日が50年の隠遁生活から解放され野望を遂げる日は来るか?」
金正恩の後継者として最有力視されている人物に、金正日の弟で、金正恩の伯父の金平日(キム・ピョンイル)がいる。仮に金正恩が急死した場合、金正日の息子はまだ幼かったり心身の健康に問題があったり、ジュエは女の子ということで難しいだろうし、玄松月(ヒョン・ソンウォル)が生んだ男の子がいるというものの、正妻の子でないため、これも受け入れがたいだろう。これに対し、金平日は現在71歳で、これまで隠遁生活を強いられてきたため、ベールに包まれてはいるが、健康や人格に大きな問題はなく、金日成の息子であるという名分も立ち、改革開放志向で中国からも気に入られているとされるため、可能性は高い。しかし、それだけに周りから命を狙われており、最近、私生活への統制がますます強化されたという。若い頃には片っ端から女性に手を出すなど性的志向に問題があったというが、これは金一族共通の性癖である。一方で幼い頃、両親に可愛がられて育ったため、金正恩ほどひねくれていないという。金正恩には金正哲(キム・ジョンチョル)という兄もいるが、彼は音楽にしか興味がないため、後継者争いでは早い段階で除外された。(2025年1月27日付動画の再放送)

2025/6/14(土)「中小国境は崩壊寸前?!…大量脱北・密輸暴発の兆し」
北朝鮮がロシアを通じてドイツ製の新型衛星アンテナを大量に密輸したようだ。2018~2020年の3年間、金与正(キム・ヨジョン)と趙甬元(チョ・ヨンウォン)が中朝国境の都市を回った際、携帯電話を徹底的に没収し、それ以降摘発された者は厳罰に処せられた。中朝国境地帯の鉄条網や監視施設、監視体制などの脱北・密輸阻止対策も強化された。しかし、2024年夏の鴨緑江流域の大水害のため、多くの脱北阻止施設が流されたり壊れたりし、現在も完全に復旧していない。これを大量の軍人で補おうとするが、そうすると軍の中で腐敗が起きたり、軍人自身が脱北したりするというジレンマにある。中国も北朝鮮麻薬の横行に頭を痛めている。麻薬密輸はドローンを使うなど密輸も巧妙化した。中国が脱北者の強制送還を中止しているため、脱北者は増加しているようだ。その証左として中朝国境地帯の通信量が急増しているという。これらを統制するためにも通信機器のアップグレードが必要と判断し、大容量の通信を可能にする最新機器を導入したものと見られる。(2025年2月10日付動画の再放送)

2025/6/15(日)「捕虜となった北朝鮮兵士に『金正恩は悪いやつだろ?』と尋ねたら…?」
以前、ウクライナに捕虜となった北朝鮮兵士2人の映像が公開されたが、捕虜はこの2人以外に数十人いると思われる。彼らへの聞き取りから分かることは、北朝鮮兵は、思想的に洗脳されているとされ、表向きには国に忠誠すると言うが、内心はそうではない、できることなら韓国に行きたいと思っている、しかし、捕虜交換でロシアに送り返されることを恐れてなかなか投降に踏み切れない状態だということだ。国家情報院の面接官が「金正恩は悪いやつだろ?」と尋ねたところ、少し口ごもった末「プーチンが悪い」と答えたという。金正恩は、昨年の大晦日にロシア派兵した兵士たちに「口頭書簡」を送った。これは金正恩の肉声録音を聞かせ、兵士自身に書き取せるというものだ。その内容は、戦地で苦労する諸君に感謝する、早く無事に帰国してほしい、というものだ。しかし、彼らに必要なのは、派兵への報酬と、死傷した際の補償を約束することだ。兵士たちは、海外で訓練を行うと言われ、送り込まれた所が実は戦地だったのだ。金正恩の「口頭書簡」とやらに騙される兵士は、もはやいないと思われるが、本放送を聞いている北朝鮮兵がいるならば、強い意志を持って大韓民国を目指し、行動を起こしてほしいと願う。(2025年1月31日付動画の再放送)

「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)