2025/7/14(月)「北朝鮮の誇る多連装ロケット砲の情けなくも悲しい実態」
休戦ラインには北朝鮮の誇るM1991多連装ロケット砲が大量に配備されており、ソウルを脅かしてきた。多連装ロケット砲は、特定のポイントではなくある程度の広さのある範囲に集中砲火を浴びせて焦土と化す武器(1994年南北実務者会議で北側代表から出た「ソウルは火の海になる」との発言で想定された武器)として恐れられていた。そのロケット砲が、対ウクライナ戦に際して500門がロシアに供与されたが、実戦に投入する前にテストしたところ、多くが使い物にならないことが分かった。ウクライナが米国から供与されたHIARSロケット砲は機動性に優れ、命中率が高く、ドローン攻撃も効果を上げているのに対し、北朝鮮の多連装ロケットは命中率は低いし、機動性もないため、次々に破壊されてしまい、残りはわずかだという。その様子を目の当たりにして、これまで恐れられてきた北朝鮮の多連装ロケット砲の実態が分かり、安堵すると共に物悲しい気がする。
2025/7/15(火)「ロシアに派遣された北朝鮮兵士の棺に金正恩と金与正が涙のショー」
金正恩が北朝鮮兵士をロシアに派遣してからほぼ1年になる。その間、多くの兵士が亡くなったが、ここへきて初めて4人の遺体が納められた棺の前で金正恩兄妹が涙する様子が公開された。ロシアに派遣される際、兵士たちは戦場に行くとは知らされなかった。ロシアの起こした侵略戦争に北朝鮮軍が参戦する理由がないからだ。そんな戦争に約3万人が派遣され、約1万人が亡くなった。それでも、そこで亡くなったり傷ついたりした兵士にはそれなりの補償があるべきなのに、それもない。派遣初期のころ、クルースクに終結した北朝鮮兵士らの上に英国製のストームシャドウが投下され500人が一度に爆死したのをはじめ、現代戦に慣れていない北朝鮮兵士は、格好の標的になったり、弾除けとして先に立たされて数多くが犠牲となった。その大部分の遺体は火葬されて灰になり、家族には補償はおろか、賞状一枚渡しただけで終わりだった。そんな家族や関係者の不満を抑えようと、幹部クラスの棺を4つ並べて偽善ショーを行ったのだ。
2025/7/16(水)「自ら手を出して老幹部を次々卒倒させる金正恩…背徳の極致」
金正恩の背徳行為は、叔父の張成澤(チャン・ソンテク)を高射砲で処刑したことをはじめ数限りないが、今回は自分の親の世代の老幹部を金正恩自ら殴りつけたり、窮地に追い込んだ事例をご紹介する。1例目は、先日、清津造船所での進水式の失敗と護衛艦沈没事故隠蔽の責任を取って高射砲で処刑された金ミョンシクだが、彼は以前、金正恩にウソをついたという理由でボカボカに殴られ、気を失ったことがある。金正日の金庫番だった韓光相(ハン・グァンサン)は、2014年、金の管理がなっていないとして金正恩に20分間も殴られ、やはり気絶した。これが金正恩による老幹部殴打の始まりだ。その次の金ウォヌク国家保衛相も、金正恩にウソをついたという理由で、部下の前で顔をこぶしや平手で殴られた。おべっか使いで知られる黃炳瑞(ファン・ビョンソ)人民軍総政治局長も、金正恩自身を守るべき尹正麟(ユン・ジョンニン)護衛部総司令官も金正恩に直接殴られた。金徳訓(キム・ドックン)は内閣総理時代、ことあるごとに難癖をつけられ口汚くののしられたが、現在は秘書に昇格している。金正恩に酷い目に遭ったのに生き残っているのは彼だけだ。これら以外に、海軍司令部を視察した際、司令部の老将軍たちに水泳を強要したり、空軍司令部に出かけて行った時は、70代の呉琴鐵(オ・グムチョル)司令官に戦闘機の操縦をさせて卒倒させかけたりした。玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)国防相は会議中に居眠りをしたのがけしからんとして散々殴られた末、高射砲で処刑されてしまった。さらに酷いのは、国防科学院の保衛部長が、早朝の行事に遅れて出勤し、その際、ポケットに手を入れていたのを金正恩の警護員に「おい、ポケットから手を出せ」と咎められ、その口調にカッとして言い返した途端、その若い警護員にAK小銃で殴り殺されてしまったケースだ。さらに、このことを金正恩に報告したところ、金正恩が「よくやった」と警護員を褒めたというのだ。どれもこれも、街のチンピラでも、やられたら袋叩きで仕返ししそうなやり口だ。この中の誰か一人でも、こんな殺され方をするぐらいなら命がけで金正恩を仕留めようという心意気はなかったものだろうか。
2025/7/17(木)「韓国との戦争シミュレーション結果にショック…緘口令敷かれる」
最近、人民軍総参謀部が韓国との戦争シミュレーションを行ったが、その惨憺たる結果に愕然とし、これを話題にした軍指揮官らは人民軍保衛局に連行されて拷問され収容所に入れられたという。イラン-イスラエル戦争を経て、ロシア、中国、イランの軍事力がいかに貧弱かが分かってしまった。対空システムやミサイル、戦闘機など、米国および西側諸国との軍事力格差は、ほとんど相手にならない水準だった。しかも最近、米国トランプ大統領が発表したゴールデンドームはイスラエルのアイアンドームを凌駕する防御システムだが、韓国がこれに追従しており、システムを完成した暁には、北朝鮮はもう手も足も出ない状況となる。最近、韓国が独自開発したL3高高度ミサイル防御システムは米国のTHAADに代替でき、天弓(チョングン)Ⅱもやはり米国のパトリオットに代えられる兵器で、既にUAEなどへの輸出実績もある。また、現在開発中のCIWSという近接防御システムは、レーザービームと対空砲が合体しAIが装着された最新鋭兵器だ。対空システムが皆無に等しい北朝鮮軍にとって、これら韓国の高性能兵器を分析すればするほど空しくなったに違いない。
2025/7/18(金)「金正恩の言動にトランプ大統領の堪忍袋の緒が切れる!」
金正恩に「愛してる」「彼とは仲が良い」「手紙を待っている」などとラブコールしていたトランプ大統領に対し、金正恩は不対応を決め込んだ。これを見たトランプは態度を180度変えて「北朝鮮もイランのようになるかもしれない」と警告を発した。トランプは第1期政権の時、自身のイメージや業績のことを考えて北朝鮮と対話を重ねたが、その結果、北朝鮮は話し合いで解決できる相手ではないという結論に達しており、既に軍事オプションの準備に入っていた。その1つとして、脱北した北朝鮮の特殊工作員の協力を得て、グリーンベレーやレインジャー部隊、特殊作戦空軍、ネイビーシールズといった特殊部隊に対し、北朝鮮の核施設攻撃や斬首作戦を実行した際のシミュレーションを行うなど、既に有事に対する準備を終えたという。しかも、イランとは違い、北朝鮮では奥深い山を除いて住民の住む地域には木がなく、木が植えてあるのは金正恩の別荘と地下に軍事施設のある場所なので、爆撃の標的が分かりやすい。そのことに気づいた金正恩は平壌の住宅街の間に重要施設を配置するなどの対応に出ているようだが、米国は衛星から常に詳細に観察しているため一足遅かったと言えよう。イラン問題が解決したトランプ大統領にとって、次は北朝鮮であることは間違いない。しかも北朝鮮の場合、核施設の破壊より、金正恩さえ除去すれば核のボタンを押す人間がいなくなるのだから、それが一番の解決策なのだ。トランプはやると決めればやる人間であり、既にやって成功させた実績もある。こうなったからには、金正恩は核を放棄し亡命するなりして、北朝鮮の地から消えるのが賢明な選択ではないか。
2025/7/19(土)「金正恩の最近の奇妙な粛清方式…世論を気にしての」
かつて北朝鮮で行われてきた粛清(処刑)は堂々と公開されてきた。李ヨンホ人民軍総参謀長をはじめ、張成澤労働党中央委員会行政部長、張秀吉(チャン・スギル)・李龍河(リ・リョンハ) 同副部長らは公開の場で高射砲で粉々にされ殺された。張成澤の処刑については「やりすぎだ」という批判が相次いだことから、国家保衛相中央機関担当保衛部の処刑執行部所にその非を擦り付け、部署ごと処刑してしまっている。我々の調査ではおよそ4000人の労働党、人民軍の幹部が処刑または政治犯収容所、または炭鉱現場で働かされている。しかし最近では労働党や人民軍の幹部らから、戦争でもないのに人を次々と殺す金正恩は殺人鬼だという強い不満の声が出ており、金正恩もあからさまに処刑できない状況となった。そのため処刑を命じたものの一旦保留して降格し、後に別件と絡めて処刑したり、処刑の話が出回った後、公開の場に出席させて、「ああ、処刑はなかったんだ」と思わせておいて結局は処刑するといった姑息な手を使っている。最近の例では、清津造船所での事故と駆逐艦沈没事故隠蔽の責任を問われて金ミンソクが処刑されたが、彼が映りこんだ映像から彼の姿をすべて消した後、海軍の幹部らが「金ミンソクは忠誠心の強い有能な将校だった」と評するのを聞いて、映像から消した姿を元に戻すという巧妙な手を使っている。映像から消されるということは普通、銃殺されたことを意味するが、再び映像に戻すことによって「実は銃殺されていなかったのか」と思わせるわけだ。これを見て、韓国メディアは「金ミンソクは生きている」と報じたが、これは北朝鮮の刻々と変わる内部事情を理解していない証拠に他ならない。
2025/7/20(日)「北朝鮮の海軍は事故で死に、責任を問われて死ぬ…金正恩はCIAのスパイ」
清津(チョンジン)での駆逐艦横倒し事故が世界的に注目されたが、その前に東海(トンヘ)艦隊の護衛艦が沈没し、数十人が死亡する事故が起きていた。東海地区艦隊は事故を隠蔽しようとしていた矢先、清津での事故が起きたことで隠蔽しきれず、その責任を問われた司令官、政治部委員、作戦参謀長など10人の幹部が、姜健(カンゴン)軍官学校において高射砲で処刑された。金正恩政権になってから、海軍に関わる大型事故が5件起きている。最初は2013年11月に新型駆逐艦3隻を導入したが、訓練を視察していた金正恩の目の前で、折からの強風の中を無理な訓練をしていて3隻とも沈没し、死者は数百人に上った。この事故は一般にも知られ、金正恩が海軍墓地を訪れて殉死者を慰めたことも報道された。2018年には、北朝鮮の護衛艦が機関部の故障で立ち往生し、けん引されて清津港に向かう途中で失踪し、乗員数十名も死亡した。2022年には護衛艦に装着していた魚雷が抜け落ち、その責任を取って海軍司令官だった金ミョンシクが解任された。彼はその後再び司令官に返り咲く。そして今回の護衛艦の沈没と駆逐艦の進水式の失敗だ。これらの事件は事故のため亡くなった人も多いが、責任を取らされて処刑されたり収容所送りとなったりと、多くの海軍関係者が犠牲となった。戦時ではなく平時に多くの人が犠牲となる状況を嘆いて、人々は「金正恩はアメリカCIAのスパイだ」と揶揄している。犠牲となった方々には申し訳ないが、このような事故がどんどん起こることによって、海軍の中から、このような事態を解決するには金正恩の除去しかない、という動きが出てくることを期待したい。(2025/6/22付動画の再放送)
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)