「ピョンヤン24時」ダイジェスト 2025/07/21-07/27

ピョンヤン24時

2025/7/21(月)「放射能に汚染された北朝鮮の海産物を中国が禁止…韓国の対応は?」

毎年春になると、北朝鮮の海域に中国から漁船がやってきて狼藉を働いてきたものだが、最近突然、中国漁船がぴたっと来なくなった。その理由は、北朝鮮が核物質を処理せずに海に垂れ流してきたため、北朝鮮域内の魚介類が放射能に汚染されていることが分かり、中国政府が水揚げを禁じたからだった。以前お伝えした通り、黄海道(ファンヘド)平山(ピョンサン)地区に大型のウラニウム精製工場がるが、核物質作る過程で排出される汚染水が工場の下にある貯水池に貯められる。この貯水池が一杯になると放流して川に流すのだが、その際、放射能物質には何の手も加えられないのだ。河川の様子は米国の監視衛星に捉えられており、30年以上この状態が続いているという。北朝鮮内でも平山地区一帯は既に危険地帯とされているが、河川を経て放射能物質が海に放出され続けているため、黄海全体への汚染の広がりが懸念されている。しかし、北朝鮮政府はこのような状況に対し一切の対策を行っていない。韓国では福島第一原発の処理水を海洋放出する際に大騒ぎしたことが記憶に新しいが、韓国に隣接する領域でこのような深刻な事態が発生していることに、韓国政府は早急に対応する対処する必要がある。

[특종] 北해산물서 심각한 방사능 수치... 中항구 비상 통제
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2025/7/22(火)「金一族の後継者問題、全体像が見えてきた」

金正恩は40代という年からすれば後継者問題はまだ先のことだとも言えるが、周知のとおり健康状態からして先は長くないとも思われる。金ジュエは華々しく登場したものの、女性が後継者になることは考えにくく、ジュエの位置づけはあくまでも金正恩にとっての金与正、つまり後継者の補佐役と考えるのが妥当であろう。では本命は誰なのか。李雪主の産んだ男の子は先天的な病気のため後継者にはなれない。玄松月(ヒョン・ソンウォル)の息子は16歳であり、14歳の妹もいるため、この兄妹を金正恩・与正兄妹のように後を継げばうまくいきそうだが、金ジュエを既に表に立たせていることから、この構図も難しそうだ。また、金ジュエを表舞台から下ろしてしまった場合、正妻である李雪主(リ・ソルチュ)は存在意義を失うため、強く抵抗するだろう。もう一人、リョ・シムが産んだ14歳の息子がおり、実は金正恩がこの子を最も寵愛しているという。顔だちも良く、聡明で、金正恩と性格も似ているからだ。ただ、リョ・シムは元在日朝鮮人の帰国者の娘であるため、彼女の子を後継者とすることも容易ではない。金正恩の母・高容姫(コ・ヨンヒ)も日本からの帰国者であるために、北朝鮮では今でも金正恩の母は公表されていない。金正恩の余命から考えて、玄松月の息子か、リョ・シムの息子かの二択になると思われる現在、平壌では玄松月とリョ・シムの対決に衆目が集まっている。(2025/4/17付動画の再放送)

[특종] 평양 소식통 '김주애 최대 위기'...김정은 후계 구도 윤곽 드러났다
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2025/7/23(水)「猛暑による大災難が平壌にも降りかかる…中央放送は注意を呼び掛けるが」

今年は韓国でもかつてない暑さに疲労感が高まっているが、エアコンが普及していない北朝鮮ではいかばかりだろうか。平壌からは熱中症の被害が続々と伝えられている。子供やお年寄りはもちろん、炎天下での工事現場などでは、暑さのため休みを取るようなことはないため、熱中症で倒れる人が後を絶たない。一部の富裕層の家にはエアコンがあることはあるが、電力供給が不安定なのであてにならない。ソーラー発電機を設置している家庭もあるが、エアコン使用には供しない。扇風機も中国からの輸入が途絶しており、北朝鮮製の扇風機はすぐに故障する。発電は基本的に水力発電に頼っているが、水量はあっても亜発電タービンが老朽化していて十分な電力を供給できない。このような状況で、北朝鮮のテレビは連日、暑さに注意せよと呼びかけているが、注意しようにも方法がないではないか。金正恩などのごく限られた階層を除く、すべての人民がこの異常な暑さに日々苦しめられている。

[긴급속보] 평양 대재앙 연일 속출...북한 TV 매일 주의 당부
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2025/7/24(木)「1年半ぶりに登場した李雪主…娘の随行員に転落か?」

李雪主(リ・ソルチュ)が1年6か月ぶりに朝鮮中央放送に登場した。元山(ウォンサン)カルマ地区で金正恩、金ジュエに同行する姿が捉えられたのだ。しかし、同じく同行した玄松月(ヒョン・ソンウォル)と同列に扱われており、主人公はあくまでも娘のジュエだった。国家指導者の家族の中で、夫人が添え物のように扱われるのは普通ではない。さらに、いつもスカート姿で登場していた李雪主がパンツ姿であったのもどこか不自然だ。かつて処刑された伯父・張成澤(チャン・ソンテク)が粛清された後、その妻、つまり金正日の妹の金京姫(キミ・ギョンヒ)には手を出していないことをそれとなく見せつけるために公式の場に登場させ、その後、追放したことがあったが、これに近い扱いなのではないか。画面に映し出された金正恩の顔も健康的とは思われず、また金正恩自身の肝いりで開発された観光団地カルマ地区が計画より7年も遅れて今年完成したものの、莫大な投資に見合う経済効果が得られないことで、金正恩はますますジレンマに陥っているものと見られる。

[특종] 도를 넘은 현송월 행패에 북한 주민들 경악!
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2025/7/25(金)「北朝鮮を観光で訪れたロシア人に見限られ、巨額の投資が水の泡」

元山カルマ地区のリゾート施設の華々しいオープンに際し、金正恩はロシアのラブロフ外務大臣を招待し、豪華ヨットに乗せたりして歓待した。計画樹立から完成まで時間がかかり巨額の費用を投じたこのリゾート施設にロシア人観光客を大々的に受け入れて外貨を稼ごうという目論見だった。しかし、ロシア人を対象に、これまで3回のプロモーションツアーを実施したが、それぞれ100人前後しか集まらず、効果はいま一つだった。ツアー客の一部は馬息嶺(マシンニョン)スキー場や平壌を訪れが、他に誰もいないスキー場で動画を撮ったYouTuberはネットで叩かれ、平壌では適当な飲食店も遊ぶところもないのに値段だけは高額だし、すぐに停電になるわ、何かというと制止を受けるわ、不便極まりないことに、ロシア人も愛想を尽かしてしまったのだ。社会主義を経験していない西側の若者にとっては、北朝鮮は秘境であり、不便や統制を受けることさえ珍しい経験として好奇心の対象なのかもしれないが、スターリン時代を経験したロシア人にとって北朝鮮は神秘でも謎の国でも何でもない。外国人観光客を誘致して外貨を稼ごうと、多額の投資をしてきた馬息嶺スキー場、美林(ミリム)乗馬クラブ、紋繡(ムンス)ウォーターパーク、陽徳(ヤンドク)温泉など、いずれも施設は立派だが、電力供給が不安定、国内人にとっては高すぎる入場料に利用者がいない、もとより外国人も来ないなど、完全に失敗に終わっている。2000年代初めに金剛山(クムガンサン)を開発して韓国人客を大量に誘致したが、結局、政治・外交問題で事業中止となったままだ。これまでの観光開発事業の最後を飾るはずだった元山カルマ地区も、結局は失敗に終わることが目に見えている。

[특종] 러시아 북한 관계 최악...'평양 더러운 지옥'
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2025/7/26(土)「金正恩の功績づくりに寄与した恩師・朴正天がついに粛清さる」

金正恩の軍事的な師匠ともいえる朴正天(パク・チョンチョン)人民軍総参謀部長が粛清されていたことが分かった。清津(チョンジン)造船所での転覆事故の後、多くの人物が粛清の憂き目にあったが、朴正天は人民軍軍政指導の総責任者として事故の責任を取らされたのだ。砲兵司令官出身の朴正天は、金日成軍事大学で砲兵学を専攻した金正恩の指導教官でもあり、金正恩がGPSを利用して砲の命中率を上げるのに画期的成果を上げたとされる、その伝説を作るのに一役買った人物でもある。また、金正恩が権力の座に就く前の時期に、韓国の延坪島(ヨンピョンド)砲撃を主導して軍功を上げたとされる件でも重要な役割を果たした。そのように金正恩にとって恩師であり恩人もある朴正天だが、彼は実直な軍人であるだけに、おべっかを使えない人間だった。金正恩にとってもう一人の軍事的師匠と言える玄哲海(ヒョン・チョルヘ)に対しては、病床にある彼を何度も見舞ったり、亡くなった時は出棺の担い手を自ら買って出ることで、自分に忠誠した人には礼を尽くす義理堅い人間なのだとアピールしたりしたものだが、無能な暴君である金正恩は、大切な恩師であり有能な部下であった男を無慈悲に粛清してしまったのだ。

[속보] 김정은 마지막 스승 박정천 끝내 숙청
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2025/7/27(日)「北朝鮮の漂流漁民をついに北に送還…これは明らかに人権侵害だ!」

数か月前、漁船で韓国に漂着し、保護されていた6人の北朝鮮人が、ついに北に送り返された。彼らは当初、韓国を目指して来たわけではないので北朝鮮に返してほしいと言っていた。そのため韓国政府は彼らを北に送り返したのだろうが、彼らが数か月間韓国に滞在する間に、北に帰りたいという気持ちに変化がなかったのかどうかを慎重に確認すべきではなかったのか。昨年出された「南北二国家論」以来、金正恩は韓国には関心もないと明言しているし、今回、韓国政府が漂流民たちを送り返したいと申し出たことに対しても何の反応も示していない。漂流民たちを即時送還したのならともかく、数か月間、自由と豊かさを味わった人間が「どうしても北に帰りたい」という考えを変えなかったとは到底思えない。そのうえ、現在の北朝鮮では韓国ドラマを見たというだけで中高生を刑務所に入れたり処刑したりする国である。彼らを北に送り返すということは、彼らを死地に追いやることであり、明らかな人権侵害である。

[특종] 북한 귀환 어민 6명 최대 위기...인민재판에 끌려나가야 할 이유
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「ピョンヤン24時」ダイジェストについて

姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。

평양 24시
평양24시는 김정은 정권의 중심인 평양을 중심으로 북한의 핵심정보들을 취재해 제공하는 TV입니다. 강철환 전 조선일보 기자와 전 언론기관 출신 편집자, 북한학 박사, 북한의 최고위층 엘리트, 핵심 전문가들과 함께 북한을 포함한 동북아시아 문제에 대해 심도있는 분석과 보도를 할 예정입니다...

姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。

邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)

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