- 2025/8/11(月)「ロシア派兵兵士を称えるパフォーマンス…国民の気持ちを逆なで」
- 2025/8/12(火)「金正恩暗殺計画26件あった!国家保衛省が関わった事件も!」
- 2025/8/12(火)「昨年は休戦ラインで行った統一大祝祭、今年は漢江トゥクソム公園で」
- 2025/8/13(金)「18万人の中国人民解放軍戦死者とも縁を切った中国…ロシアもこれに追随」
- 2025/8/14(木)「金正恩の視察直前、江原道の水産事業所で米国製の高性能小銃発見!」
- 2025/8/15(金)「8月1日付労働新聞に衝撃の記事」
- 2025/8/16(土)「金正恩の心身に異常事態?…酷暑に冬服、虐殺史展示場で笑い?」
- 2025/8/17(日)「ロシア派兵への不満の高まりに、金正恩が「配慮」施す?」
2025/8/11(月)「ロシア派兵兵士を称えるパフォーマンス…国民の気持ちを逆なで」
北朝鮮には朝鮮戦争で犠牲となった兵士を称える革命烈士墓地がいくつかあるが、今回、ロシアの戦争に参加して亡くなった兵士のための墓地を新たに作っているという。これに伴って北朝鮮政府は死者を二度殺すような残酷な指示を出した。まず、犠牲となった兵士を「祖国の息子」「愛国の息子」などと呼ぶことで大々的な宣伝の材料にしている。帰還兵には負傷者もいれば無傷で帰った者もいるが、彼らには戦場での否定的な話をしないよう圧力をかけている。そして、息子を亡くした家族には一切の不満を言わせないよう締め付け、一言でも不満を漏らせば収容所送りかへき地追放となる。朝鮮戦争停戦の日を、北朝鮮では「戦勝節」として大々的な行事を行うが、この時にロシア派兵兵士を愛国者と称え、哀悼を捧げるパフォーマンスを行った。しかし、朝鮮戦争の時は、毛沢東が息子の毛岸英(マオ・アンイン)を戦場に送り込んで戦死させている。北朝鮮では金正恩の息子はもちろん、幹部クラスの息子は一人として送られていない。労働者、農民や親のいない子、つまり息子が死んでも文句も言えない家庭の子供ばかりを送り込み、その命の代償はすべて兵器の購入に充てられてきたのだ。いくら称賛するふりをしても、死者を冒涜しているも同然ではないか。
2025/8/12(火)「金正恩暗殺計画26件あった!国家保衛省が関わった事件も!」
金正恩執権10年余りの間に、金正恩暗殺の試みは26件に上ったとされる。今回はそのうち2件を紹介する。1件目は2017年5月、北朝鮮の中央放送で、「最高首脳部を狙った生化学テロ」が行われようとしたと発表されたというものだ。ナノ技術を使い、対象に接近しなくても周辺に仕掛けておけば1年以内に対象が死亡するという作戦で、米国CIAと韓国の国家情報院が関わり計画が進められたという。ニュースによれば、韓国の地下革命組織員と韓国の地方議員が関わり、北朝鮮のある労働者を協力者として計画したものだという。しかし、どう考えても一介の労働者が金正恩殺害計画に関わるというのは考えにくい。我々の把握したところでは、金正恩政権に入ってから張成澤(チャン・ソンテク)はじめ、あまりに多くの粛清が行われたことに反感を持った北朝鮮内のロシア担当の保衛部集団が反体制化し、金正恩除去のための決死隊を成して実行を試みたというものであった。ロシア担当であれば外貨稼ぎとも関われるし、任務の特殊性からも実行可能性が高い。彼らは韓国国家情報院に高性能超小型爆弾を入手したいと打診したが、国情院がこれを拒絶したため未遂に終わったという。2件目は、金正恩が平壌市の未来科学者通りを視察する際にも殺害計画があったが、これは内部情報が洩れて失敗に終わった。数々の金正恩暗殺計画に北朝鮮の情報機関である国家保衛省が直接関わっていたという事実が衝撃的だったと言えよう。
2025/8/12(火)「昨年は休戦ラインで行った統一大祝祭、今年は漢江トゥクソム公園で」
我が「ピョンヤン24時」は、南北統一、北朝鮮の人権と民主化のために最善を尽くすチャンネルだ。一方で、北朝鮮はもはや「統一はしない」と言っているし、金日成・金正日が作った「三大統一憲章」さえ木っ端みじんに破壊してしまった。韓国も今では「統一より平和」だと言いだしている。今年は光復80年、つまり日本統治から解放されて80年の年で、半島が一つになってこその光復のはずだが、もはや統一という言葉が次第に忘れ去られようとしている、しかし、我々のDNAには統一への熱望が込められているはずだ。このDNAを呼び覚ますための祝祭を、今年も8月15日に行う。去年は休戦ライン付近で数千台のドローンを飛ばし、北側の人民軍にも統一を呼びかけたが、今年はソウル市内漢江沿いのトゥクソム公園で、やはり数千台のドローンを飛ばし、多くの有名歌手も出演して統一を願う「光復80周年記念コリアンドリーム漢江大祝祭」を行う。今回は祝祭の広報映像を紹介する。<広報映像>
2025/8/13(金)「18万人の中国人民解放軍戦死者とも縁を切った中国…ロシアもこれに追随」
北朝鮮と中国の関係が芳しくないという兆候はこれまでにも現れていたが、今回、決定的な証拠が確認された。朝鮮戦争の休戦協定に署名した7月27日を、北朝鮮では「戦勝節」と呼び、北朝鮮の戦争に協力した中国人民解放軍との友誼を確認し、戦死した18万人の中国人兵士を称える「友誼塔」には毎年、中国・ロシアの大使館から花輪を送り、金政権トップの参拝に各国の大使などが同行するのが通例だった。しかし去年は中国から人も花輪も来ず、今年は中国とロシアの両方から参拝がなく、完全に金正恩の一人参拝となった。中国は一回性の参拝停止ではなく、完全に北朝鮮とは縁を切ったということだ。去年は参拝していたロシアも、対朝鮮関係だけでなく、対中関係を考慮して、ロシアだけが参拝するわけにいかないと判断したのだろう。北朝鮮の国際的位置づけがますます明白になった格好だ。
2025/8/14(木)「金正恩の視察直前、江原道の水産事業所で米国製の高性能小銃発見!」
先日お伝えしたように、金正恩に対する暗殺計画がこれまで26件あったとされる中で、今回、「同胞魂(キョレオル)統一連帯」の張世率(チャン・セユル)代表が北朝鮮から得た情報の詳細が新たにわかったので紹介する。北朝鮮の江原道に825(パリオ)水産作業所という人民軍傘下の水産加工工場がある。ここは2019年に金正恩の提案により事業が拡大された工場で、金正恩は元山(ウォンサン)の別荘に行くたびにこの事業所に立ち寄っていた。金正恩の護衛部隊である974(クチルサ)部隊に所属していた脱北者のカン・ジン氏の話では、金正恩がどこかに出かける際は、金正恩の予想される導線の周囲1000mに一切の金属がないように警護部隊が確認することになっているという。北朝鮮内にある銃の照準距離が1000mを越えることはないからだ。ところが、この日に限って、確認範囲を1500mとしたところ、山林の中に狙撃用小銃が隠されているのが発見されたという。この銃はなんと米国製の銃で、照準距離が1500mであるうえ、遠隔制御で照準の修正が可能な高性能の銃だという。これは米国など外国勢力が関わっていることの証である。元山は海沿いなので、例えば米軍の特殊部隊が潜水艦でやってきて、北朝鮮国内の反政府勢力に銃を提供したとか、或いは米軍特殊部隊や韓国国家情報院が直接上陸してこの場所に銃を設置し、金正恩が来る日に作戦を実行しようとしたという可能性も考えられる。この事件をきっかけに金正恩の身辺警備は周囲1000mから1500m、2000mへとますます厳重になったという。
2025/8/15(金)「8月1日付労働新聞に衝撃の記事」
四代世襲を目前に控える中、8月1日労働新聞に驚くべき記事が掲載された。これまで金日成・金正日・金正恩と三代にわたる革命歴史を教えるための教材を執筆する過程で、執筆陣の中に深刻な反対派がいて、彼らを粛清したことがあったというのだ。このような事実が今回初めて公開された背景は何だろうか。北朝鮮では三代世襲、四代世襲に疑問を抱いたとしても、それを公言すれば処罰されるため、表向きは誰も反対しない。ところが今回の記事で、金日成大学のキム・スンギュ、カン・ソンモクという2人の教授が金日成の歴史書を執筆し、金正日の歴史書も執筆したが、1973年に金正日の歴史書執筆の際に内部で激しい論争があったということが今回明らかにされた。金正日を「人民が推戴した唯一の後継者」と記述しようとなったところで、「推戴」という表現を使うべきではないと反対した不届き者がいたというのだ。当時、金日成の息子だというだけで、何の業績もなかった金正日を「推戴」するというのは、共産主義に反する封建主義的な考えだという真っ当な主張をした者がいたのである。その後、金正恩の革命歴史の教科書が出版されたが、その中身を見ると、金正恩が7歳の時に車を運転しただとか、銃を撃たせれば百発百中だったといった類で、革命とは何の関係もないことばかり書かれている。もっとも金正恩は王子様として贅沢三昧して育ち、スイスに留学したもののいじめに遭ったという過去しかないのだから仕方がない。その後を継ぐのが金ジュエになるかどうかはわからないが、結局同じことが繰り返されるのだろう。金正恩が後を継ぐことになった時は、若くて海外経験のある指導者ということで人民の間でも期待感があったが、蓋を開けてみると、あまりの狡猾さと邪悪さに、父の金正日のほうがよほどましだったと思い知らされたのだった。最近の様子を見ると、金ジュエに継がせようという流れにあるようにも見える。四代目が誰になるのか、それを人民は受け入れるのか、8月1日の労働新聞の記事が何か示唆するのか、いずれも不明だが、今後の動向を注視していきたい。
2025/8/16(土)「金正恩の心身に異常事態?…酷暑に冬服、虐殺史展示場で笑い?」
7月27日は北朝鮮の「戦勝節」でお祝いムードとなるが、この日を前に、金正恩は黄海道(ファンヘド)新川(シンチョン)にある博物館を訪れた。この博物館は、朝鮮戦争の時に米軍によって3万5千人の良民が虐殺されたというでっち上げの展示物を置いて、反米扇動に利用している場所だ。ところが酷暑の中、金正恩は分厚い長そでの服を着ているではないか。この格好で新川博物館とその周辺の農場を視察する金正恩を見て、誰もが違和感を持ったに違いない。あの高度肥満の体では人一倍暑さを感じるだろうし、黄海道の水害を視察した際には、この日より暑くなかったにも関わらず、薄い半そでシャツを着用していた。ということは、金正恩の体が暑さを感じない異常な状態にあるのか、或いは体調が悪く悪寒を感じているか、いずれかなのではないか。そして、もう一つ異様だったのは、子供や女性を含む3万5千人が虐殺されたことを記念する博物館の地下に降りて行って、金正恩・金与正の兄妹が嬉しそうに笑っていたことへの違和感である。一般人が新川博物館で同じように笑ったら銃殺されるに違いない。新川での虐殺事件は、実は米軍によるものではなく、戦線が南下したあと北上したことによって起きた土地の奪い合いが発端の地主階層と人民軍側の殺し合いであり、博物館に展示されているポスターに米軍司令官のハリスンという人物が描かれているが、戦争に関するあらゆる資料の中にハリスンという人物は存在しないことが分かっている。金兄妹はこのことを知っていて笑ったのだろうか。いずれにしても心身に異常をきたしていることを思い知らされる場面ではなかったか。
2025/8/17(日)「ロシア派兵への不満の高まりに、金正恩が「配慮」施す?」
韓国国家情報院ではウクライナ戦に派兵された北朝鮮兵士の数を1万5千人と発表しているが、我々が把握した情報によれば、将兵10万人に労働者10万人を加えた約20万人に上ると推定される。しかも、勞動者といっても実際には武装していないだけで、戦場付近に送り込まれているものと見られる。これまで彼らには何の報酬も補償も支払われてこなかったが、北朝鮮国内でのあまりの不満の高まりに、ロシアから受け取る報酬の10%を、金正恩からの「配慮」という名目で兵士本人に支給することにしたという。将軍クラスだと月3千ドル、将校は月2千~2千5百ドル、一般兵は月千4~6百ドルが支払われているが、その10%を兵士に支払うというのだ。現在の北朝鮮の労働者の月給が0.3ドル、金正恩の秘密資金を扱う39号室の月給が23ドルであるから、10%に過ぎないとしても兵士に月150ドル以上が現金で支払われるとすれば、命を懸けた出征への褒賞としては納得できる金額だと言えよう。しかし、これが兌換紙幣(クーポン)で支払われるという。さらにこのクーポンを使えるのは平壌市内のロシア専門商店だけであり、そこに商品が十分にあるわけでもない。つまり騙してウクライナ戦争に行かせたうえ、その報酬の10%を「配慮」として紙切れ同然のクーポンで渡すという。どれだけ欺瞞を重ねるのだろうか。
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)