「ピョンヤン24時」ダイジェスト 2025/10/06-10/12

ピョンヤン24時

2025/10/6(月)「一方的に騙された金正恩、プーチンに怒り心頭のわけ」

先日の訪中の際に、プーチンとの対話中に金正恩が声を荒げる場面があったことをお伝えしたが、その理由が明らかになってきた。ドイツのフリードリヒ・ナウマン財団がロシア-ウクライナ戦争で北朝鮮が提供した軍需物資は約13兆ウォンに上り、これに対してロシアが北朝鮮に送った物資は1兆6千億ウォンに過ぎなかったという調査報告書を発表した。1年前に金正恩はロシアの支援を受けて偵察衛星を5基打ち上げると言ったが、いまだに1基しか打ち上げられていない。また駆逐艦を1年に2隻ずつ、5年で10隻建造すると言ったが、これまで2隻にとどまっており、しかも2隻とも自力航海不能状態のままだ。さらに原子力潜水艦を導入すると息巻いていたが、これを建造する技術は北朝鮮にあるはずもなく、ロシアからもらった旧式の潜水艦を改造した程度に過ぎないと思われる。また、防空システムもロシアから導入したが、イラン-イスラエル戦争で役に立たないことが証明されたS400よりさらに旧式のS300をあてがわれ、平壌の防御は不可能な状態だ。これらはロシアから無償提供されたわけではなく、対ウクライナ戦への派兵を含む武力支援の対価として受け取ったものだ。それが、ことごとく無用の長物となっており、一方的にカモにされた金正恩が怒るのも無理はないのだ。

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2025/10/7(火)「金正恩一行に対し中国が厳しい所持品検査…麻薬・違法取引疑う?!」

先日の訪中の際、金正恩一行が中国当局に厳しい所持品検査を受けていたことが分かった。普通、国家の首脳や高官に対して、出入国や税関の審査は免除されるのが慣例なのに、今回は一行が乗った列車に付いた指紋を隅々まで採取し、金正恩・金ジュエを含む数多くの同乗者の所持品をすべて徹底的に調べるので、随行護衛要員と中国公安の間で小競り合いが起こりかけたという。なぜこんなことになったかというと、中国側は金一族を含む北朝鮮の上層部が麻薬を常用していると疑っているのだ。90年代に脱北した黄長燁(ファン・ジャンヨプ)氏が北朝鮮にいた頃、中国出張の際に北の高官から麻薬の売買を頼まれたことがあると言っていたように、北朝鮮では30年前から麻薬が上層部の間に広がっていたのであり、北朝鮮の指導部が大人数で入国する際には麻薬の持ち込みが強く疑われるのだ。そのほか、中国内には凍結された北朝鮮の現金・仮想資産等があり、これらを何らかの形で送金等する可能性がある。結局、中国は北朝鮮に対する警戒を緩めておらず、相互に信頼関係にあるとは言えない状態なのだ。

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2025/10/8(水)「集中豪雨で流された武器・砲弾に警戒態勢…初の爆発物申告ポスター登場」

今年8月中旬の集中豪雨で慈江道、平安道一帯の家屋、施設が押し流されたが、人民軍の武器庫が流され砲弾が流出したことが問題になり、異例的にこの一帯に爆発物申告ポスターが掲示された。常識的に考えれば、流れてきた武器を一般人が発見した場合、届け出れば済むはずが、昨今の情勢から、武器が反体制勢力の手に渡ればテロの恐れがあるということなのだ。たまたま爆発物を手に入れた人が手元に隠しておいて、公権力などに不満を感じた時にそれを持ち出す可能性もある。興味深いことに、ポスターには武器、爆発物の種類と一つ一つの名称、そして爆発物申告センターの電話番号が書かれている。2004年には朝中国境近くの龍川(ヨンチョン)で大規模な爆発事件があった。金正日が列車で中国に行った帰りを狙って、爆発物を仕掛けたのだった。この時は、列車が通り過ぎた後に爆発したため金正日は無事だった。今回、武器・砲弾が流された鴨緑江下流の新義州(シニジュ)は、中国との交流の窓口のような街なので、スパイも多いし、考え方の開けた人が多い。考え方が開けているということは体制への不満も多いということだ。そのような反体制勢力が爆発物を入手したらどうなるかということを危惧したものと思われる。(2025/9/6付動画の再放送)

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2025/10/9(木)「想像を絶する豪雨災害…人民軍の非常食糧・物資倉庫も流される」

既に北朝鮮国内の集中豪雨被害について何度かお伝えしたが、このところ朝中国境付近のヒューミントらから「大雨で大変なことになっている」という電話が相次いでいる。衛星から送られる雨雲の映像を見ると、猛烈な雨が降っていることを表わす赤い領域が、平壌から平安北道、慈江道にかけての広い地域に長時間留まっていることが分かる。去年7月末に北部を襲った豪雨被害がいまだ復旧していない中で再び豪雨に襲われ、民家、農地、軍基地、工場などが再び流されてしまった。中でも「2号倉庫」といって、有事の際の軍の非常食糧を備蓄するための倉庫があるが、これが次々に流されてしまった。昨年の水害で食糧難になった際にも放出しなかった非常食糧が大雨で流されるのを見て、地元民は腸が煮えくり返る思いをしているという。北朝鮮の山には木がないため、大雨が降るとそのまま水の塊に襲われて、人的被害は想像を絶するのだ。(2025/9/3付動画の再放送)

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2025/10/10(金)「北朝鮮内部で反乱拡散の兆しに金正恩がかつてない異様な言動」

このところ、北朝鮮国内で反乱、民乱とも言うべき不穏な動きが各地で起こっている。これに追い詰められたのか、金正恩がかつてない異様な言動をとっている。最近、平壌市内に人民病院が完成した。コロナ禍下で着工され、1年で完成させるとしていたが、資金不足で5年かかったのだ。その資金不足を補うために、住民から強制的に寄付金を集め、中国から医療機器を買い入れて、やっと病院を完成させた。建設初期には、韓国の文在寅政権がこの病院のために医療機器を大量に寄付したが、これらの機器に「Made in Korea」と刻まれているのを見た金正恩が激怒して、これを導入した幹部をすべて粛清し、機器はすべて廃棄してしまったのだった。その金正恩が、この病院の完成に際し、「この病院は人民のための贈り物であって、人民から金を集めるとは何事か。集めた金はすべて人民に返せ」と幹部らに命じたのだ。また、大成(テソン)区域のセッピョル通りに、ウクライナ戦争で戦死した兵士の遺族のためのマンションを建設しているが、これも建設費用を募金で賄おうと幹部たちが人民から金を搾り取っている。金正恩は、この金も人民に返してやれと幹部に命じたのだ。そもそも北朝鮮では、何かというと募金と称して幹部が人民から強制的に金を出させることが常態化していた。それは金正恩の指示もしくは黙認のもとで行われてきていたのに、今さらその金を人民に返してやれと、良き指導者のふりをしているのだ。戦死者の遺族にすれば、ロシアから兵士それぞれに1万ドルだかの金が支払われているのに、その10分の1、100分の1も自分たちに入ってこないことへの不満がある上に、住民から搾り取った金でマンションを作ってやる、というやり方に納得がいくはずがない。1ドルは既に4万ウォンを超え、米の価格は高騰し、冬を前に既に餓死者が出ている状況で、今や民乱、反乱が拡散し、いよいよ政権崩壊を迎えるのではないだろうか。

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2025/10/11(土)「習近平は北朝鮮より韓国、金正恩は中国より米国、どうなる北朝鮮?!」

9月3日、中国の抗日戦勝記念式に金正恩が訪中した。今度は10月10日、北朝鮮の労働党創建記念式に習近平を是非招待したいとして、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソニ)外相が改めて特使として訪中したが、習近平は訪朝を拒否した。一方で10月末に韓国で開かれるAPECには参加する意向を示した。中国は、北朝鮮ではなく韓国を選んだのだ。崔善姫外相と中国の王毅外相との会談で、北朝鮮では両者の意見が一致したと報道したが、中国では相互の意見を交換したと飲み伝えた。実際、北緒戦側は脱北者は逮捕し強制送還することを要求したが、中国側は過去のように無条件の強制送還はないと応えた。また、各種の密輸品や犯罪による金品に対し、中国はすべて没収し即時競売にかけており、以前のように後日一部返還などの考慮も一切ない。近年の密貿易、違法取引、ハッキングなどで、中国国内にある北朝鮮の資金は4万ドルとも5万ドルとも言われるが、これらについても朝中間で合意されたものはなにもないのだ。おまけに、対米外交について、中国側が米国の一方的な圧迫に中朝が協力して対抗しよう、と提案したのに対し、北緒戦側ははっきりと答えなかった。今や北朝鮮は、中国と協力して反米でいくより、トランプ大統領と取引して難局を切り抜けることを選んだようだ。中国にとっては、米中が二極化した現在の国際状況の中で生き残りをかけた闘いの最中にあって、自国に背を向ける勢力は敵と見做すしかない。この複雑な構図の中で、北朝鮮が今後どのような選択をしていくのか、注目される。

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2025/10/12(日)「平安北道・慈江道一帯は無政府状態…公安も打つ手なし」

朝中国境付近から電話で伝えられる新義州をはじめとする平安北道一帯の最近の状況をお伝えする。昨年大水害の被害を受けたこの地域は北部地域でも数少ない穀倉地帯だったが、年を越しても農地の復旧はならず、2年連続で作物が取れない状態だ。洪水で流された住宅を再建するとして、平壌から30万人の青年を送り込んでアパートを大量に建設したものの、この地域の人たちの手元には何も残っていないうえ、生活保障の無い建設部隊の青年たちのせいで、このあたりはほとんど無政府状態だという。米の価格も、もともと1kgが6~8千ウォンだったのが、今では3万ウォンに跳ね上がっており、月給5千~1万ウォンの大部分の住民は米を食べられない状況が無政府状態に追い打ちをかけている。これを統制するために、平安北道・慈江道一帯に中央党検閲グルッパ(検閲隊)という集団が送り込まれるが、彼ら自身が夜は危なくて外を歩けない、統制しようとした相手に殺されるという有様だ。もともと穀倉地帯であるうえ、中国との取引が可能なため豊かだったこの地域が、今では北朝鮮国内でももっとも危険で悲惨な地域と化してしまった。

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「ピョンヤン24時」ダイジェストについて

姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。

평양 24시
평양24시는 김정은 정권의 중심인 평양을 중심으로 북한의 핵심정보들을 취재해 제공하는 TV입니다. 강철환 전 조선일보 기자와 전 언론기관 출신 편집자, 북한학 박사, 북한의 최고위층 엘리트, 핵심 전문가들과 함께 북한을 포함한 동북아시아 문제에 대해 심도있는 분석과 보도를 할 예정입니다...

姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。

邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)

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