1月13日(月)「ウクライナ戦派兵の惨状と思想動揺に軍高位幹部を追加派遣」
ウクライナ戦の戦況が芳しくないため、高位軍幹部が新たに派遣された。その目的は、①死傷者の規模が予想以上であり、②兵士の思想的動揺が深刻で、放置すれば大量脱走が生じる可能性があり、③北朝鮮兵への補給品が劣悪であるため戦闘能力を喪失していることなどを解消するためだという。11月下旬に北朝鮮軍の駐留地をストームシェイドが襲い、大量の死傷者とともに北朝鮮軍幹部も死亡したというニュースが伝えられた。それ以降、北朝鮮兵の投降や脱走が増えることが予想されたが、実際にはそうならなかった。北朝鮮軍の参戦当初は、ジェレンスキー大統領が捕虜とした北朝鮮兵をロシア軍の捕虜となったウクライナ兵と捕虜交換を行うという方針だったためだろう。その後、同大統領は北朝鮮捕虜の希望を優先するという方針に変更したが、この時も投降者や脱走者が大量に出るかと思いきや、少数に留まった。その原因として考えられるのは、北朝鮮軍内の政治的締め付けが厳しく、また逃げられないよう余分の食糧を持たせていないためではないか。ウクライナ軍が北朝鮮兵の死体を調査したところ、「逃げれば永遠の逆賊、死ねば永遠の命」と書かれた指針書とともに自爆用手榴弾を持っていたことが分かっているし、死体が非常食糧を全く持っておらず飢餓状態だったということが分かっている。さらに、韓国内の情勢不安の余波で国家情報院と韓国軍が効果的な心理戦を行っていないことがあると思われる。尹錫悦大統領の職務が停止されるという残念な状況はあるが、大統領代行は大韓民国国民である北朝鮮兵の人権を保護するための仕事をするべきである。

1月14日(火)「ウクライナ、北朝鮮人民軍捕虜2名を公開…衝撃の証言」
ウクライナのジェレンスキー大統領が北朝鮮人捕虜2人の映像を公開した。1人は自国に帰りたいと言い、もう1人は、ここの人たちはいい人たちかと尋ね、帰れと言われれば帰るが、ここで暮らしたいと述べた。彼らが捕虜交換でロシアに送られれば、いずれは殺されることは確実である。これは同大統領によるロシア・北朝鮮に対する警告であり西側諸国に対する派兵要求なのではないか。公開された2人の捕虜は偵察総局所属の最先端特殊部隊の隊員であり、北朝鮮側の目論見は、彼らエリート兵士に現代戦を経験させ、そこで学んだことを北朝鮮軍に伝えることにある。つまり北朝鮮軍は数多くの犠牲を出しながらも真剣に戦っているのだ。この状況に対し、他人事のように状況観察や通訳などしている韓国の国家情報院と国軍の職務怠慢を指摘しないわけにいかない。もっと危機意識を持って国を守るための仕事をするべきだ。

1月15日(水)「軍人の鏡、4スター将軍が民主党議員を一喝!」
大韓民国にも軍人らしい軍人がいた。と同時に、スパイの正体が暴露された。14日、民主党が国会に金ミョンス合同参謀議長を呼びつけ、韓国軍のドローンについて、軍の機密を無視し、根掘り葉掘り問い詰めた。すると、本部長は「敵に手の内を明かすようなことを話すことはできない。国会議員がなぜ敵の手先のようなことをするのか」と一喝した。どう見ても民主党には、金正恩の手先らが大挙して寄生しているとしか思えない。北朝鮮が韓国軍のドローンについて情報を欲しがっているのは、以前、韓国軍の無人偵察機「ソンゴルメ(はやぶさ)」が北朝鮮上空を飛行し、子細な写真を撮影して回ったことに脅威を感じたためであろう。ドローンだけでなく、対北拡声器、対北ビラ撒布を「外患誘致」行為だとして民主党は政府を追及するが、これは北朝鮮のニーズに沿うものだ。北朝鮮の脅威は、核兵器に弾道ミサイル開発から汚物風船まで、極に達しているのに、これに対して韓国軍は何もするなというのか。民主党議員らの正体が日に日に明らかになっている。

1月16日(木)「北朝鮮に強制送還された若い2人の漁民の無念、晴らされるか」
2019年11月、漁船に乗って南北境界線を超え、韓国海軍に帰順を表明した若い北朝鮮漁民2名が、数日後に北朝鮮に強制送還されるという事件が発覚した。2人は漁船員16人を殺した殺人犯だとされたが、殺人に対する調査も十分に行われず、殺人現場である漁船も検証されないまま北に引き渡された。板門店で強制送還される際、2人は必死で抵抗したが、なすすべもなく北側に引き渡される様子を写した動画も公開され、韓国社会に大きな衝撃を与えた。彼らがその後どうなったかは不明だが、公開処刑などの重刑に処された可能性は高い。文在寅政権(2017~2022)の間、金正恩に罵られ疎まれながらも、莫大な資金と、原発や国内の地形に関する機密情報などを提供し、トランプ前米国大統領をそそのかして米朝会談をセッティングするなど各種の便宜を図ってきた中で起こった事件である。この度、この事件に関わったとされる徐フン、鄭ウヨン、金ヨンチョル、盧ヨンミンに3年から5年の懲役刑が求刑された。これで気の毒な2人の青年の無念が少しは晴らされるだろうか。我々、北朝鮮の人権に関する諸団体は、合同でこれら文在寅政権の4人組を告発し、その告発文の一部が検察の求刑論告に引用され、微力ながら貢献したと言えよう。

1月17日(金)「脱北者に注意喚起!保衛部と結託した詐欺師が横行」
韓国に暮らす脱北者は、北朝鮮にいる家族と連絡を取ったり送金したりするために、中国の通信アプリ「WeChat」を利用することが多いが、これを通じた組織的な詐欺が多発している。WeChatで「オーケー」というハンドルネームを持つ40代の女性ブローカーは、高い情報力と実行力をもつとの評判が立ち、多くの人が仲立ちを依頼したが、最初はうまくやっていて信頼関係ができるや大金を送金させ、これを詐取したのだ。そのうえ、家族が行方不明になったり逮捕されたりした人もいるという。「オーケー」は、中朝国境の往来が閉ざされて金に窮した恵山市の国家保衛部と結託し、どこかに訴えることもできない脱北者の弱みに付け込んで大規模な詐欺を働いたのだ。似たような事件は「オーケー」だけに留まらず、中朝国境沿いの各都市の保衛部はそれぞれに似たような悪事を働いていると思われる。また、韓国の国家権力が弱化している隙を狙って北朝鮮の保衛部が活動を活発化させており、韓国在住の脱北者を巧妙に中国へ呼び出し、拉致しようとするケースもあるという。脱北者の皆さんは、これらの事件に巻き込まれないよう気を付けてほしい。

1月18日(土)「史上最大の金正恩統治資金盗難事件!?」
金正恩は、中国に派遣した労働者の賃金とロシア派兵の代償として手に入れた数億ドルで、偵察衛星やS300防空システムの開発などを行ってきたが、その資金の一部で、北朝鮮の核心階層に対するインセンティブのためのマンションを数万戸建設することにし、内閣にその権限と1億2千万ドルの資金を与えた。現在、建物の外形がほぼ完成し、あとは内装だけという段階ある。その資材は中国からの輸入に頼るしかないが、その中には国連制裁に抵触するものもあるため、北朝鮮の内閣高官1人と中国の取引先との間で現金での秘密取引が行われるはずだった。ところが、内閣高官が保衛部検閲のため平壌に呼び寄せられ不在となった昨年12月1日、1億2千ドルが中国の取引業者に持ち逃げされたのだ。中朝関係が良好であれば、中国公安の協力を得られるところだが、中朝関係が最悪の状態にある中、持ち逃げした中国側の業者を暗殺する指令が北朝鮮偵察総局から出されたという。

1月19日(日)「北朝鮮ドローン部隊3000人が平壌駅を出発…ウクライナ戦に新局面?」
ウクライナ戦への派兵は1万2千人と言われているが、我々が掴んだ情報によれば既に少なくとも2万人は派兵されていると見られるうえ、出稼ぎ労働者と称する数万人がすでにウクライナ戦に投入されているものと見られる。そんな中、最近、偵察総局所属の3000人のドローン部隊が極秘裏に派遣されたという情報が入った。その目的の一つは、ロシアから兵力に対する報酬を受け取るためであるが、ドローン部隊であれば人命被害はなく、戦果を挙げればその分の追加報酬を受けられる。もう一つの目的は、北朝鮮で開発されたドローンの有用性検証と実践力強化である。この二つ目の目的が実は韓国にとって大きな脅威となる。現在、韓国内政治情勢が揺れ動き、国軍も威力を低下させているが、このような最先端武器の脅威を予測し、これに有効に対処していく必要があろう。

「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)