- 2025/9/1(月)「中国公安が北朝鮮偵察総局要員を一網打尽に!」
- 2025/9/2(火)「金正恩の心身に異常事態?…酷暑に冬服、虐殺史展示場で笑い?」
- 2025/9/3(水)「想像を絶する豪雨災害…人民軍の非常食糧・物資倉庫も流される」
- 2025/9/4(木)「崔龍海が金正恩に目を付けられ、1号行事参加者名簿から削除される」
- 2025/9/5(金)「ウクライナ戦で捕虜がたった2人?自爆した英雄が続出?その裏事情とは!」
- 2025/9/6(土)「集中豪雨で流された武器・砲弾に警戒態勢…初の爆発物申告ポスター登場」
- 2025/9/7(日)「統治資金没収・仮想通貨の現金化問題・ロ-ウ戦終結で頼るは中国だけ?」
2025/9/1(月)「中国公安が北朝鮮偵察総局要員を一網打尽に!」
中国の公安と国家安全部(警察)が、北朝鮮偵察総局によるハッキングに関わった要員に対する捜査、逮捕を本格化させている。今年2月25日、北朝鮮のハッカーが米国最大の仮想通貨取引所バイビットで約14億ドル相当の仮想通貨イーサリアムを詐取した。事件発覚後、直ちに経路を閉鎖したが、辛うじて数千ドルが被害を免れたにすぎず、大部分はマネーロンダリングを経て北朝鮮の手中に入ってしまった。ただ、これらの仮想通貨は中国国内で現金化するしかないが、一度に大金を両替すれば足がついてしまうため、10万ドル規模に小分けし、高額な手数料を払いながら数か月かけてあちらこちらで現金化しているという。しかし、現金化された金で北朝鮮偵察総局の要員らが高級品や車を購入したり高額の飲食をしたりしたため、中国安全部の網にかかったのだ。中国政府は、国内で北朝鮮ハッカーの暗躍が目に余ることから、既に香港とマカオ以外での仮想通貨取引を中断している。また、中国国内で北朝鮮の偵察総局要員が出所不明の現金を使った場合、その場で現金を没収し、要員を逮捕しており、その金額・人数はかなりの規模になるものと思われる。去年も人民軍保衛局の朴ウォニル所長が1億ドル相当の不法資金で中国からCNC旋盤を密輸しようとしてこじれ、3000万ドルを持ち逃げした事件があった。

2025/9/2(火)「金正恩の心身に異常事態?…酷暑に冬服、虐殺史展示場で笑い?」
7月27日は北朝鮮の「戦勝節」でお祝いムードとなるが、この日を前に、金正恩は黄海道(ファンヘド)新川(シンチョン)にある博物館を訪れた。この博物館は、朝鮮戦争の時に米軍によって3万5千人の良民が虐殺されたというでっち上げの展示物を置いて、反米扇動に利用している場所だ。ところが酷暑の中、金正恩は分厚い長そでの服を着ているではないか。この格好で新川博物館とその周辺の農場を視察する金正恩を見て、誰もが違和感を持ったに違いない。あの高度肥満の体では人一倍暑さを感じるだろうし、黄海道の水害を視察した際には、この日ほど暑くなかったのに薄い半そでシャツを着用していた。ということは、金正恩の体が暑さを感じない異常な状態にあるか、或いは体調が悪く悪寒を感じているか、いずれかなのではないか。そして、もう一つ異様だったのは、子供や女性を含む3万5千人が虐殺されたことを記念する博物館の地下に降りて行って、金正恩・金与正の兄妹が楽しそうに笑っていたことである。一般人が新川博物館で同じように笑ったら銃殺されるに違いない。新川での虐殺事件は、実は米軍によるものではなく、戦線が南下したあと北上したことによって起きた、土地の奪い合いが発端となった地主階層と人民軍側の殺し合いであり、博物館に展示されているポスターに米軍司令官のハリスンという人物が描かれているが、朝鮮戦争に関するあらゆる資料の中にハリスンという人物は存在しないことが分かっている。金兄妹はこのことを知っていて笑ったのだろうか。いずれにしても心身に異常をきたしていることを思い知らされる場面ではなかったか。(2025/8/16付け動画の再放送)

2025/9/3(水)「想像を絶する豪雨災害…人民軍の非常食糧・物資倉庫も流される」
既に北朝鮮国内の集中豪雨被害について何度かお伝えしたが、このところ朝中国境付近のヒューミントらから「大雨で大変なことになっている」という電話が相次いでいる。衛星から送られる雨雲の映像を見ると、猛烈な雨が降っていることを表わす赤い領域が、平壌から平安北道、慈江道にかけての広い地域に長時間留まっていることが分かる。去年7月末に北部を襲った豪雨被害がいまだ復旧していない中で再び豪雨に襲われ、民家、農地、軍基地、工場などが再び流されてしまった。中でも「2号倉庫」といって、有事の際の軍の非常食糧を備蓄するための倉庫があるが、これが次々に流されてしまった。昨年の水害で食糧難になった際にも放出しなかった非常食糧が大雨で流されるのを見て、地元民は腸が煮えくり返る思いをしているという。北朝鮮の山には木がないため、大雨が降るとそのまま水の塊に襲われて、人的被害は想像を絶するのだ。

2025/9/4(木)「崔龍海が金正恩に目を付けられ、1号行事参加者名簿から削除される」
8月20日、在平壌中国大使館で中国人民解放軍の抗日戦争勝利80周年の行事が行われ、崔龍海(チェ・リョンヘ)ほか、文化省、外務省などの代表が参加した。この行事について、北朝鮮労働新聞はたった1行で伝えるにとどまったが、中国大使館のホームページでは崔龍海がにっこり笑う写真が大きく掲載され、行事についても詳細に説明されていた。さらに抗日戦争と関係して、毛沢東と金日成(キム・イルソン)を高く評価する内容が書かれ、金正恩については健康を祈願するという1行があったのみだった。このことで金正恩がかなり気分を害しているようだ。この行事の2日後には、ロシア‐ウクライナ戦争で戦死した兵士を追悼する行事が行われたが、出席した幹部の中に崔龍海の姿がなかった。これは上記の行事の報道で、崔龍海の存在が金正恩の癇に障ったためだと思われる。崔龍海は金日成と共に抗日戦争を戦ったとされる崔賢(チェ・ヒョン)の息子であり、抗日の血統としては正統派だ。これに対し、金正恩は在日朝鮮人の母のもとに生まれ、実際に日本が大好きな親日派なので、抗日の血統に対するコンプレックスがあるのだ。崔龍海は、粛清とまではいくまいが、高齢の身で「革命化」労働に行かされて苦労することになるのだろう。

2025/9/5(金)「ウクライナ戦で捕虜がたった2人?自爆した英雄が続出?その裏事情とは!」
ロシア‐ウクライナ戦争で捕虜になった北朝鮮軍兵士は、全世界に公表された2名だけだったとされているが、そこには裏があったのではないか。8月22日に戦死した兵士の追悼式が平壌で行われ、「101人の共和国英雄が誕生した」として、その家族に賞状が授与された。英雄というのは実際に亡くなった兵士100人に1人程度が出るのが常識である。ストーム・シャドーで吹き飛ばされた500人などは英雄として扱われることはない。100人の英雄が生まれたということは、その100倍の犠牲者がいたということではないのか。さらに、この日英雄とされた兵士の多くが「捕虜になりそうな状況に追い込まれ自爆した」と説明されているが、国家への忠誠心が希薄なチャンマダン世代の若者たちがそんなに次々と自爆するだろうか。これは、逃亡者や捕虜になりかけた者を秘密暗殺部隊が射殺しておいて「自爆」と称しているのではないか。ロシア軍は以前から逃亡者は暗殺部隊が射殺してきたことから、北朝鮮もこれに習って逃亡者や捕虜になりそうな者を射殺し、その兵士たちを「英雄」としたのではないか。ウクライナ軍に捉えられた捕虜が2人しかおらず、自爆者が大量に出している不自然さは、このように説明できるのではないか。また、行事の映像では、亡くなった一般兵士の妻や子供たちに金正恩が頭を下げている姿があがったが、これも普通では考えられないことだ。それほど国内のロシア派兵に対する不満が高まっていることを表わしているものと思われる。

2025/9/6(土)「集中豪雨で流された武器・砲弾に警戒態勢…初の爆発物申告ポスター登場」
今年8月中旬の集中豪雨で慈江道、平安道一帯の家屋、施設が押し流されたが、人民軍の武器庫が流され砲弾が流出したことが問題になり、異例的にこの一帯に爆発物申告ポスターが掲示された。常識的に考えれば、流れてきた武器を一般人が発見した場合、届け出れば済むはずが、昨今の情勢から、武器が反体制勢力の手に渡ればテロの恐れがあるということなのだ。たまたま爆発物を手に入れた人が手元に隠しておいて、公権力などに不満を感じた時にそれを持ち出す可能性もある。興味深いことに、ポスターには武器、爆発物の種類と一つ一つの名称、そして爆発物申告センターの電話番号が書かれている。2004年には朝中国境近くの龍川(ヨンチョン)で大規模な爆発事件があった。金正日が列車で中国に行った帰りを狙って、爆発物を仕掛けたのだった。この時は、列車が通り過ぎた後に爆発したため金正日は無事だった。今回、武器・砲弾が流された鴨緑江下流の新義州(シニジュ)は、中国との交流の窓口のような街なので、スパイも多いし、考え方の開けた人が多い。考え方が開けているということは体制への不満も多いということだ。そのような反体制勢力が爆発物を入手したらどうなるかということを危惧したものと思われる。

2025/9/7(日)「統治資金没収・仮想通貨の現金化問題・ロ-ウ戦終結で頼るは中国だけ?」
中国の抗日戦争勝利記念日に、金正恩は結局出席することになった。これは中国主導で決められ、発表も中国のみが行い、北朝鮮側の正式の発表はなかった。つまり金正恩は行きたくなかったが、結局、習近平に屈服して出席せざるを得なかったのだ。父の金正日時代の前期には、国外に行く際には2週間から1か月前から喧伝していたが、金正日後期から金正恩時代にかけて、国外への行き来の際に命を狙われる危険があることから、帰国した後に発表するようになった。今回、金正恩は国内での政情不安を抱えて行きたくなかったのに、結局習近平の言うことに従った背景は、1つには北朝鮮の統治資金を中国に完全に握られていることがあると思われる。もう1つは仮想通貨のマネーロンダリングや現金化は中国内でなければできないが、ばれれば中国に没収され、物品の密売・輸入も摘発されれば没収のうえ罰金が課されるという状況だ。さらに現在1ドルが3600北朝鮮ウォンにまで下落し、これまではロシアへの砲弾提供と派兵で多少潤っていたが、ロシア‐ウクライナ戦が終戦局面に入ればもう後がなく、頼る先は中国しかないという状況になったことから、習近平の言うとおりにせざるをえなかったのだろう。習近平の立場からは、中朝露の3か国首脳が揃うことで健在ぶりを誇示するとともに、米朝が拙速に接近することを阻み、北朝鮮を自らの管理下に置きたいという思惑があるものと思われる。

「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)