2月3日(月)「金正恩、復活したか?国境地帯で無慈悲な仕打ち」
北朝鮮貨幣の崩壊が危ぶまれる中、中朝国境沿いの新義州(シニジュ)、惠山(ヘサン)、茂山(ムサン)の両替商に対する集団公開処刑が行われた。昨年まで1ドル8000ウォンだった為替レートが1万ウォンに迫ろうとしており、その責任をなんと両替商になすり付けたのだ。両替商がドルの価値が上がるのを見越して替えしぶりをしたからだという。金正恩は、問題があると自分で責任を取ることはなく、誰かに責任を押し付けてきた。そしてこの機に及んで貨幣改革を敢行しようとしている。2009年に金正日と金正恩が貨幣改革を行った際は、市場の機能が完全にマヒしたが、その責任を朴ナムギ労働党企画処長に問い、公開処刑に処した。この冬、零下20度の猛烈な寒さの中、凍死する人が続出しているとの情報がある。特に頼る家も家族もいないコッチェビ(浮浪児)たちは、みな死の淵に追いやられていることは間違いない。

2月4日(火)「20日ぶりに現れた金正恩、様子がおかしい」
1月7日以来、姿を見せていなかった金正恩が1月27日に労働党秘書局拡大会議に出席した。この間に、ウラニウム濃縮施設を視察したという写真が登場したが、これは日時が特定されていないことから、写真公開当時に撮影したものではないと思われ、その後、ミサイル発射に立ち会ったという後姿の写真が公表されたが、これはどう見ても影武者だった。労働党秘書局拡大会議に出席したのは確かに金正恩だ。しかし、この時の彼の顔はむくんでおり、癇癪を起したような表情で、病み上がりで体調がすぐれない様子だった。そして敢行したのは労働党幹部の大量粛清だった。年末の人民大会以来、金正恩だけでなく趙甬元(チョ・ヨンウォン)も金与正(キム・ヨジョン)も玄松月(ヒョン・ソンウォル)らも一切姿を見せていなかったのが、今回の秘書局拡大会議には全員が顔を揃えた。

2月5日(水)「ついに派兵北朝鮮兵士らの反乱!5人を射殺後ウクライナ入りか?」
ウクライナ戦に投入された北朝鮮軍が忽然と姿を消したため、ロシア側が捜索中だと言う。どうやら派兵北朝鮮軍全体に暴動の兆しがあり、北朝鮮参謀部がもはや北朝鮮部隊の戦闘能力が喪失したと判断し、前線から後退した模様だ。最近、5人の北朝鮮兵士が上官を含む5人を射殺してウクライナ側に入ったということを、ロシア軍がウクライナ軍の宣伝ビラで知ったという。北朝鮮軍は8人がグループとなり各グループごとにスパイがいるため、大人数で行動を起こすのは容易ではない。しかし5人グループであれば協力することは可能であり、1グループが行動すれば他のグループも後を追う可能性が出てくる。この事態を受けて、北朝鮮側が態勢を立て直す必要があると判断し、参謀部に指示して思想検証を行うために一旦後方に後退させたものと思われる。在ロシア北朝鮮大使館の情報によれば、現在、北朝鮮兵士は一様に逃亡を考えており、それを阻止しようとする幹部の命が危険にさらされているという。本国にいる家族が人質にされているとはいえ、虫けらのように殺されるしかないとなれば、死ぬか生きるかの賭けに出ようとするわけだ。そもそもロシア軍もそうだが、北朝鮮軍の人海戦術は現代戦に脆弱であり、大量の死傷者を生むだけで大した戦果も挙げられない。プーチンの立場からしても派兵と死者に対する北朝鮮への出費がかさむ一方であり、トランプの登場により戦況に変化が起きると予想されるため、金正恩の悩みは尽きないことだろう。

2月6日(木)「北朝鮮史上最大の事件発生!」
金正恩が20日ぶりに復帰したかと思ったら、労働党機関の警察および監察機構に解散を命じた。平安南道温泉(オンチョン)郡の労働党幹部らは遊郭をこしらえて酒盛りに麻薬パーティーの末、集団で淫らな行為を行ったという。これが保衛部の監察により発覚し、飲酒接待行為で検挙された20人の幹部らは姜建(カンゴン)軍官学校に送られて処刑され、家族は政治犯収容所送りとなった。また、慈江道雩時(ウシ)郡では、地元警察が農民らから財産を巻き上げたり、言うことを聞かないと暴行を加えたりしたことに怒った住民が暴動を起こした。このような場合、従来なら住民を検挙するところだが、ここで住民を抑えつければ暴動がさらに激化すると考えたのか、腐敗した警察幹部が批判され解散となったのだ。

2月7日(金)「若くして亡くなった脱北青年の冥福を祈ります」
脱北青年のパク・ソンリョル氏が2月4日に30歳の若さで肝癌で亡くなった。脱北して韓国に定着後、崇實(スンシル)大学校でコンピュータの勉強をし、頑張って生きてきた彼が、体調を崩して医師の診察を受けた時はすでに肝癌の末期だったという。脱北者は脱北過程で死の恐怖と隣り合わせの極度のストレスを受けてきた。韓国に定着してからも社会に適応するために緊張が続き、仕事にも人一倍頑張りすぎて体を壊す人が多い。病院にかかる費用にも困る脱北者が多い中、同じ脱北者が運営するユミカTVの呼びかけで募金を行い、治療に当たってきた。残念ながら亡くなったパク・ソンリョル氏の冥福を祈る。

2月8日(土)「平壌襲う大寒波に高齢者の地方疎開を指示?!」
最近のソウルの寒さも例年以上だが、北朝鮮の寒さはソウルより5℃から10℃低く、文字通り極寒だ。その寒さで地方は大変で、平壌はまだましなのではないかと思われがちだが、今年はこれが逆転した。高層マンションでは電気水道が供給されないため、党の指示で幹部家族の高齢者を地方に避難させていると言う。金正恩お気に入りの超高層マンションは、上の階ほど天国への階段ではなく地獄への階段であり、新しいマンションは金正恩の指示で、石炭などを燃やすことも禁じられている。常識的には、住宅を建てる前に、水道、電気、ガスなどのインフラを確保したうえで建物の建設にかかるものだが、金正恩にそのような進言をするものはいない。金正恩の指示に逆らったと看做され処刑されるのがおちだからだ。新しいマンションに限らず、従来の5階建てのアパートの暖房を賄うだけでも平壌火力発電所、西平壌発電所、北倉発電所などがフル稼働しなければならないが、現在、これらの発電所の稼働率は30%に過ぎない。従って、金正恩の居住地周辺のみ電気が供給され、200万人の平壌市民は冷蔵庫のようなマンションで凍死の危険と戦っている状況だ。

2月9日(日)「北朝鮮の動画撮りたがるユーチューバーに警告!」
世界中のユーチューバーにとって、北朝鮮は好奇心の対象に違いない。北朝鮮内でなくても中国やロシアで北朝鮮人と出会えばカメラを向けたくなるだろう。しかし気を付けた方がいい。北朝鮮関係の映像で金儲けをしようとする輩、特に韓国人は見せしめのため厳しく処罰せよという指令が、偵察総局と国家保衛省に下されたのだ。先月、ウラジオストック空港で金日成バッヂをからかうような動画を撮っていて、北朝鮮人に脅迫されたというユーチューバーもいる。周知のとおり北朝鮮の工作員の手にかかれば、暴行、毒殺、拉致は朝飯前だ。特に若い韓国人ユーチューバーの皆さんは、再生回数を伸ばすため、あるいは好奇心に駆られて、北朝鮮関係の人物などにむやみに接近すると危険な目に遭う可能性があるので気を付けてほしい。

「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)