3月10日（月）「北朝鮮人捕虜が金正恩の隠したかった事実を暴露」
今回、ウクライナで捕虜になっている2人の北朝鮮兵に対する元KBS記者で国会議員の庾龍源 （ユ・ヨンウォン）氏によるインタビューで、北朝鮮の軍事態勢に関する新たな事実が分かった。金正恩は2012年から、仁川（インチョン）沖の北朝鮮と最も近い白翎島（ペンニョンド）を奇襲して、人民軍5万人を上陸させるための訓練をしており、そのため黄海道（ファンヘド）の草島（チョド）に5万人以上を常駐させていた。また、同じ黄海道に韓国大統領府の青瓦台（チョンワデ）を再現し、奇襲・占領する訓練も行われてきた。今回新たに、黄海道谷山（コクサン）郡に韓国ソウルの鐘路（チョンノ）の街並みなどをそっくり再現し、特殊部隊が南侵訓練を行っていたことが伝えられた。現在、韓国は大統領が弾劾訴追された政治的空白状態にあり、北朝鮮では金正恩が内外的に追い詰められており、米国ではトランプが登場するなど、非常に不安定な政治的・軍事的状況の下で、我々は不測の事態に対応すべく、緊張して対策に努める必要がある。
3月11日（火）「脱北者弾劾反対時局宣言の会場に民主党国会議員が何しに現れた？」
我々脱北者団体が3月7日、尹錫悦大統領弾劾反対の時局宣言を行ったが、会見後のバックブリーフィングをしている会場に、ある民主党の国会議員が出たり入ったりした。彼は、昨年10月24日、国会の外交統一委員会国政監査の際に、証人として出席した朴相學（パク・サンハク）氏（北朝鮮へのビラ撒布を精力的に行ってきた自由北韓運動連合代表で脱北者）に攻撃的な質問をして、「ここは北韓の最高人民会議か？」と手痛い反撃を受けた李在康（イ・ジェガン）議員だ。何か言うでもなく、気味の悪い笑みを浮かべながらうろついた挙句、出て行った。その様子は本動画に収められている。韓国の国会議員は、その特権を利用するだけし、嘘をでっちあげても責任を問われない存在であること自体問題だが、目的不明の彼の行動は不審で不快でしかない。
3月12日（水）「北朝鮮に梅毒の脅威が拡散！」
従来、北朝鮮には梅毒という性病はあまりなかったが、コロナ禍の後、海外から戻った人たちが持ち込み、主に平壌でこの病気が拡散して大騒ぎとなっている。海外からの帰国者にはエイズや梅毒などの性病の検査をしなければ入国できないことになっているが、検査のための試薬が絶対的に不足しているため、問診する程度にとどまっている。そのうえ、韓国のようによく効く薬がすぐに手に入るわけでもなく、死亡者も出ているため、この病気に罹った人は隔離しておくしかないという。さらに問題は、北朝鮮では青少年への性教育が行われていないため性病予防の知識がないうえ、特に上流層で性文化が乱れているため、まるで王朝時代のような見るに堪えない状況だという。
3月13日（木）「北朝鮮の携帯電話に‘韓国語’から‘北朝鮮語’への自動翻訳機能搭載」
北朝鮮のすべての携帯電話に、メッセージに入力された「韓国語」を自動的に「北朝鮮語」に変換するアプリが搭載されたという。「オッパ（お兄ちゃん）」「ワイプ（うちのやつ）」のような韓国語っぽい表現を入力すると、自動的に「オラボニ（兄さん）」「アネ（妻）」のように変換される。「サムギョプサル」という料理名さえ「セギョプサル」のように少しでも韓国語っぽくない表現に変換されるという。北朝鮮の人にとって「韓国」は、以前は憎しみや恐れの対象だったが、今では憧れ、希望となった。金正恩も「銃を持った敵より、華やかに装った文化的浸透の方が恐ろしい」と言ったことがある。韓国文化に染まっていく現状を金正恩がいかに恐れているかが、このアプリ開発からも見て取れる。
3月14日（金）「北朝鮮の石炭貨物船、黄海で沈没した事件の全貌を初公開」
先日、北朝鮮の船が中国沖で沈没して20人余りが死亡したというニュースがあったが、その詳細は伝えられていなかった。この事故があったのは2月27日、中国山東省沖合の公海上で、石炭を満載した5000t級の貨物船が、船の位置などを知らせるAISを消して待機していたため、中国の大型船に衝突されたのである。船は瞬く間に沈没したため、乗組員は全員死亡したと見られる。乗務員は人民軍総政治局所属と分かったが、北朝鮮では商船に乗るには出身成分が良い必要があり、おまけに総政治局所属とあれば、かなり高位級の人物が乗っていた可能性がある。ただ、この船は密輸船なので、中国側が一応の事故収拾は大なったものの、事故調査や死体の回収などが徹底される可能性は低い。
3月15日（土）「金正恩の軍部隊視察中にハプニング…あの大佐はどうなったか？」
金正恩が姜健（カンゴン）綜合軍官学校を視察した際、人民軍兵士を集合させて歓迎を受ける中、突風が吹いて土埃が舞い上がった。これを何とかしなければ、と思ったのか、1人の大佐が金正恩に向かって突進し、金正恩の真ん前に立ちはだかったところ、この大佐と金正恩の腹がくっつく事態となった。その一部始終と、その場にいた全員が唖然とする様子が、朝鮮中央放送のカメラにと捉えられていた。この大佐がその後どうなったのかは不明だが、その場で捕えられて何らかの処罰を受けた可能性はある。
3月16日（日）「韓国から北に亡命した高級官僚の息子が平壌で行方不明に」
朴正煕大統領時代に大統領と対立したため夫婦で北に渡った崔徳新（チェ・ドクシン）元外相。その息子で、韓国に暮らしていた崔イングク氏が、5年半前に北朝鮮に渡ったが、最近、政治犯収容所に送られたとの情報を得た。父が韓国の高級官僚だっただけでなく、その父、つまり祖父の崔東旿（チェ・ドンオ）氏は金日成の先生であったこともあって、平壌で相当な厚遇を受けていた。母親の柳美英（リュ・ミヨン）氏も、北朝鮮の偽装政党である天道教青友党の委員長を務めながら対南活動を行た人であり、北朝鮮に大きく貢献した家族である。その両親ともに既に亡くなった後、崔イングク氏は永久帰国だとして2019年に北に渡ったのだが、その後、失踪したのである。彼はこれまでに何度も南北を行き来しながら、人民軍大佐だった李善權（リ・ソングォン）が祖国平和統一委員会の委員長に昇進したという事実を韓国に初めて伝えたり、金正恩にまつわる時計や車のナンバーに「727」という数字が使用されるという事実を初公開するなど、北で知り得た事実を軽々しく南で明かしていたことなどがスパイと見なされて、誘因拉致されたのではないか。
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳（ヨドク）強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』（淵弘訳、ポプラ社）
『北朝鮮脱出』（安赫との共著）上・下（池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫）
『さらば、収容所国家北朝鮮』（ザ・マサダ）
