2025/5/5（月）「北の暴挙には沈黙していた韓国軍、1発の誤射を拡声器で知らせるとは…」
今日は韓国軍の北に対する低姿勢の情けない姿をお伝えする。北と対峙する非武装地帯の監視小屋で火器点検中に機関銃の実弾１発が誤って発射された。弾は鉄製の扉を突き抜けたため南の領域に落ちたにもかかわらず、韓国軍は直ちに北に対し、銃の誤射があったことを謝罪する放送を対北拡声器で流したのだ。2017年に板門店で北朝鮮兵が走って南に亡命した事件で、逃げる兵士を北朝鮮軍が背後から銃撃した際には、南側に何発も到達したが、北側は何の釈明もしなかった。それどころか、韓国側の資金で建てた開城工業団地の南北連絡事務所は何の予告もなく突然爆破され、5千億ウォンが一瞬で消え去ったが、北側からは謝罪どころか何の音沙汰もなかった。銃が誤って1発発射されたことをわざわざ大型拡声器で北に知らせるとは、情けないことこの上ない。昨年12月の戒厳令の際に戒厳軍として動員された将校が、「反乱軍」と非難され泣き出すシーンが見られた。北朝鮮と対峙中の韓国軍がこの体たらくとは、国家を守る覚悟があるのか疑わしい。
2025/5/6（火）「金正恩の一号品密輸を中国政府が摘発…朝ロ接近の報復か⁈」
中朝間の軋轢が深刻化する中、煙台や大連などの港で北朝鮮の密輸船に対する大々的な摘発が行われた。中国は北朝鮮に対し、中国内で許可なく物を購入するな、特に軍事・科学技術物資の買入れは不法であり、禁止だと宣言した。しかし、北朝鮮はロシアから武器製造の注文を受けており、製品の品質を上げるためには中国の精密な工作機器の導入が必要だ。また、金一族が必要とする高価な生活用品も中国から買わなければならない。しかし昨年4月に続き、今回も、北朝鮮が浙江省で仕入れた機器類が中国当局によって摘発され、また金一族の何千万ドルもする贅沢品も数々もすべて没収され、競売処分されてしまった。北朝鮮の外交官らが、これは金一族の生活用品だからどうか見逃してほしいと哀願したにも関わらずである。ロシア派兵で得た大金を注ぎ込んだものが、すべて水の泡になったのだ。
2025/5/7（水）「平安道・黄海道一帯で金正恩打倒の落書き・ビラが拡散」
平壌を中心に平安道(ピョンアンド)、黄海道(ファンヘド)一帯で、若者による「金正恩打倒！」の声が高まっている。平壌で大学生、高校生を問わずあらゆる青年たちを最前線に送り込むというパフォーマンスが行われていることと、ウクライナ戦に送られて戦死した兵士の家族が1万人を超えたことで、若者とその家族や友人たちの怒りが爆発しつつあるのだ。ロシア派兵で負傷した北朝鮮人兵士が平壌の病院で治療を受けていないのに、あろうことか負傷したロシア兵の治療を平壌の病院で行っていることも若者の怒りに油を注いでいる。このような状況に対する反発・不満を、落書きやビラでぶつけているのだ。ロシア派兵の際は、兵士たちに「訓練をしに行く」と言って騙し、現地に着くといきなり実戦に放り込み、逃げようとする者は後ろから撃つという状況の中で、数多くの兵士が亡くなったり負傷した。戦死者数は公式発表されていないが、我々の取材によれば最低1万人が死亡し、1万人以上が負傷したものと思われる。これらすべての死傷者に対し一銭の補償も行われていないということも、今回の若者の怒りの原因である。
2025/5/8（木）「平壌で摘発された衛星電話…中国と繋がっていた！」
平壌で、衛星を使って国外と通話できる携帯電話が何台も摘発された。北朝鮮内では当局に許可され、監視され、録音されている状態以外では、国外との通話は違法でありスパイ行為とみなされる。中朝国交付近で、脱北ブローカーらが中国の携帯電話を使い、中国の基地局の電波を通じて送金の中継ぎをしたりするのももちろん違法である。衛星電話は、平壌から外国との秘密のやり取りが可能だが、端末を手に入れるのは容易ではなく、使用料金もが非常に高額であるため、個人的なやり取りのために使うことは考えにくい。つまり、金正恩暗殺や金正恩政権交代を目論む北朝鮮内部の勢力が、国外と繋がっていたことが疑われるのだ。過去には米国CIAや韓国の国家情報院などが衛星電話を北朝鮮に送って情報を得たりしていたが、第2次トランプ政権は対北朝鮮工作を止めてしまったものと思われており、今回摘発された衛星電話はどうやら中国と繋がっていたと見られるのだ。習近平の中国が金正恩の北朝鮮を疎ましく思っているのは間違いない。習近平は2018年以来、ことあるごとに金正恩に半島東側の港・海域を中国人民解放軍に使わせろと要求してきたが、金正恩はすべて拒絶している。トランプ政権の対北朝鮮政策が変化したすきを突いて、中国は北朝鮮に親中政権を打ち立てるために金正恩を討つ時期が来たと判断しているのではないか。それだけに北朝鮮国家保衛省は神経を尖らせている。
2025/5/9（金）「SKテレコムの個人情報流出事件は北朝鮮・中国のしわざか？」
韓国は今、携帯電話のSKテレコムがハッキングされ、2000万人の加入者のうち1000万人以上の個人情報が流出したという事件で大騒ぎとなっている。犯人はまだ明らかにされていないが、我々が把握した北朝鮮内部からの情報によれば、北朝鮮偵察総局のハッカー部隊が中国のヤクザ組織と手を組んで行ったものであるようだ。今年2月にも北朝鮮のハッカーがアメリカ最大の仮想通貨市場であるバイビットをハッキングして、数千万ドル相当のイーサリウムを奪取するという事件があった。今回は、カンボジアにある団地を中国のヤクザ組織が占領し、そこに北朝鮮から先鋭のハッカーを呼び寄せて、韓国人の個人情報を抜き取ったのだ。もはや韓国の政府や銀行や企業を飛び越えて、韓国の個人資産を狙った犯行であろう。しかし、より深刻なのは、選挙操作が可能となることだ。個人情報を手に入れれば、その人に成りすまして投票することが可能となる。さらには有事の際に政府から個人あてに流す情報網にニセの情報を流すことで、社会を混乱させるこができる。民間企業とはいえ、韓国最大の通信会社であるSKテレコムが北朝鮮や中国のハッカーにいとも簡単にやられてしまうとはとんでもないことであり、彼らは責任感を持って保安を徹底するべきだ。
2025/5/10（土）「ロシアの戦勝記念日、プーチンの招待をやはり金正恩は断った」
5月9日のロシアの戦勝記念日に、プーチンは金正恩を招待したが、金正恩は行かないだろうと先月、本放送で予言したが、やはりその通りとなった。その最大の理由は、ウクライナ戦への派兵に対する見返りに、金正恩は首都防空システムや偵察衛星、原子力潜水艦などの装備の提供を要求し、これに対しプーチンが提供した装備が、いずれも時代遅れだったり数量が十分でなかったりしたことで金正恩が怒ってしまったことだ。また、仮に金正恩がモスクワへ赴くとなれば、列車で片道7日かかるため、往復とモスクワでの滞在を合わせると18日程度平壌を空けることになるため、それはできない。もしプーチンが専用機でも贈って、どうしても来てくれと言えば行かないでもないが、それはなかった。さらに、モスクワには習近平も招待されており、金正恩が習近平と顔を合わすことは避けたいと考えているはずだ。そのうえ、金正恩は数多くの国々の首脳が集まる場に出たことがなく、慣れない場で恥をかくことになれば、わざわざ出かけても得るものはないと考えたに違いない。
2025/5/11（日）「金正恩は支離滅裂な指示で自滅への道を急いでいる?!」
平壌の超高層マンションが、短期間で完成させろという金正恩の指示により崩壊の危機にあることは既にお伝えしたが、この短期竣工を金正恩の偉大な成果として朝鮮中央放送が伝えたことには唖然とするしかない。放送では「特色ある科学者通りをわずか1年で見事に完成させた」「17時間ごとに1階ずつ立ち上げていく驚くべき奇跡」「建設の基本は質であり、速度にこだわる余り質を軽視すると、我が国の地方建設政策の妨げることになるという確固たる認識」「いくら大変でも現代的な保健施設建設はとにかく当該年度に完成させ」といったナレーションが付されているが、現在、北朝鮮の最大の危機はまさに金正恩の支離滅裂な指示に起因することは明らかだ。超高層マンション建設の実態が明らかになるにつれ、金正恩政権の危機は増大している。北朝鮮のすべての問題の原因は金正恩にあると言えるが、中でも超高層マンションを無茶な指示で建てさせることほど愚かなことはない。しかし、金正恩の指示に従わない者は銃殺されるため、指示に従うしかなく、こうしている間にも平壌市民が最も恐れている超高層マンションの崩壊の危機は刻一刻と近づいている。
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳（ヨドク）強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』（淵弘訳、ポプラ社）
『北朝鮮脱出』（安赫との共著）上・下（池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫）
『さらば、収容所国家北朝鮮』（ザ・マサダ）
