声明 北朝鮮のミサイル発射に抗議する 

声明 北朝鮮のミサイル発射に抗議する

4月5日午前、北朝鮮政府は人工衛星と称し、国際社会が中止を求めていたにもかかわらず、新型ロケットの発射を強行した。
この行為は国連安保理決議にも日朝平壌宣言にも違反するものであり、国際信義にもとる北朝鮮政府の行動は強く批判されるべきである。また、わが国の安全保障やアジアの平和のためにも、このような暴挙を許すことはできない。

新型ロケットの発射は、2006年の核実験と合わせ、北朝鮮政府があくまで核攻撃能力を手に入れようとしていることを示している。6カ国協議が核・ミサイル開発の時間的余裕を与えた事実を、私たちは直視しなければならない。これまでの経過は、北朝鮮政府が国際的な約束を実行する意思を持たず、虚言を弄して踏みにじることを示している。

北朝鮮の核問題に直面してすでに20年になるが、その間に実現したことは北朝鮮政府の核開発の放棄ではなく、核保有の宣言と弾道ミサイルの完成であった。そして拉致問題は解決することができず、多くの北朝鮮住民にも深刻な生活破壊と迫害が続いてきた。

問題を解決できずにきた理由は、関係各国が北朝鮮政府の軍事的暴発あるいは崩壊を恐れるあまり、国際的な約束違反や犯罪行為に厳しく対処することができずに来たばかりか、「人道支援」あるいは「信頼関係の構築」と称して北朝鮮政府を支援することさえしてきたからである。その結果が北朝鮮による核とミサイルの開発、そしてその拡散という、いっそう大きな危機を招こうとしていることを反省しなければならない。

北朝鮮政府は核とミサイルの開発だけでなく、拉致や偽ドル、麻薬など、数々な無法行為を働いてきたことは周知の事実であるが、それらに対する制裁もきわめて不十分なままである。
偽ドルに端を発した米国による金融制裁は大きな効果を上げつつあったが、6カ国協議の開催を優先しようとして北朝鮮政府に譲歩し、解除してしまったことは重大な失策といわねばならない。

私たちは北朝鮮の人権改善を求める市民団体として、北朝鮮政府の軍事優先政策の影で、今も飢餓に苦しみ、政治犯収容所を頂点とするさまざまな弾圧下にある北朝鮮民衆の苦境を思わざるを得ない。民衆は北朝鮮政府の暴挙の犠牲となり、本来彼らの救援のために使われるべき資金も技術力もこのような軍事にのみ回され、しかも彼らは抗議の声を上げることも許されず、些細な不満を述べただけで厳しい弾圧にさらされている。
私たちは北朝鮮政府に以下のことを要求する。

①核兵器とミサイルの開発を中止し、保有する核兵器を廃棄し、核査察を受け入れること
②拉致被害者を全員解放し、補償し、情報を公開し、犯人を処罰すること
③政治犯収容所を廃止し、国際機関の人権査察を受け入れ、人権状況を改善すること
④アウンサウン廟爆破、大韓航空機爆破という国家テロを謝罪し、被害者に補償し、犯人を処罰すること
⑤麻薬の製造と販売・密輸、贋金の製造・使用などを謝罪すること

今行うべき対北朝鮮政策は、北朝鮮政府への安易な譲歩や妥協を排し、互いに補い合う二つの政策、すなわち第一に「北朝鮮政府に対する断固とした非軍事的制裁」と、第二に「拉致被害者や脱北者など北朝鮮政府による人権・人道被害者の徹底した救済・支援」を強力に推し進めることである。断固たる制裁と被害者の徹底した救済を国際的に実行することによってのみ、問題を真に解決する道を開くことができる。

2009年4月6日
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
代表 三浦小太郎

(旧サイトより転載:http://hrnk.trycomp.net/statement.php?eid=00010)

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