12月9日(月)「金正恩のアキレス腱を切る法案…海外在住北朝鮮人に希望の光」
報道ではあまり大きく扱われていないが「脱北民安全移送法」という法律が制定された。脱北して外国にいる人を、安全に韓国に連れて来るための法的根拠となるものだ。これまでは、外交官などの高位職者や高価値な情報を持つ人については、そのつど状況に応じて大使館などが支援してきたが、一般人の場合はほぼ放置状態だった。そのため大多数の脱北者は北に強制送還されたり、中国やロシア内で人身売買に遭ったり、弱みに付け込まれた人権蹂躙を受けたりしていた。しかし、北朝鮮住民は韓国の国民だという憲法の精神に基けば、韓国政府には彼らを保護する義務がある。本法案は与党議員と野党議員が合同で発議し、両党の賛成多数で成立した。北朝鮮や民主党が、この法案が北の体制に及ぼす影響に気づかず見逃していた可能性もあるが、北朝鮮住民の人権を守るため与野党が協力するのは望ましいことだ。今後はこの法律を根拠に他国と話し合うことができるし、予算を確保することもでき、そうなればこれまで外国領内で放置されてきた北朝鮮住民を保護し、安全に韓国に連れて来ることができる。
12月10日(火)「危機の大韓民国を救おう!…内乱行為に苦言」
本チャンネルは基本的に北朝鮮関連の情報をお伝えするものだが、今回は尹錫悦大統領弾劾について一言申し上げたい。今回発令された非常戒厳令は、方法に問題があったかもしれないが、尹大統領は内乱罪に当たることは何もしていない。野党・共に民主党の横暴に耐えかねて大統領が下したハプニングのような戒厳令で、誰一人として怪我をしたり逮捕された人もいない。それに比べ、民主党はこの政権に入ってから22件もの司法、行政の長に対する弾劾を行ってきた、これこそが内乱行為ではないのか。国会の議席が多数だからといって何をしてもよいというのは北朝鮮の労働党の一党独裁と変わるところがない。共産主義へと向かおうとすることこそ内乱罪なのではないのか。野党党首の受ける裁判では判決を先延ばしにし、刑が確定する前に大統領選挙に当選してすべてをご破算にしようと、あらゆる策を講じている。これこそが司法をないがしろにする内乱罪ではないのか。李在明(イ・ジェミョン)民主党代表は無罪だと言う人がいるが、無罪かどうかは裁判所が判断することだ。大統領室や行政府の予算や脱北者支援予算が大幅にカットされたが、本来なら国会議員の莫大な歳費・経費から削減すべきではないのか。行政府を麻痺させるこれらの内乱行為に耐えかねて戒厳令を発令した尹大統領を、与党・国民の力までが批判しているが、何が国家の利益であり、何がそれを毀損しているのかを判断し、賢明に行動してほしいものである。
12月11日(水)「韓国の弾劾事態に金正恩が沈黙しているのはなぜか?」
このところ韓国社会を覆い尽くしている大統領弾劾事態について、北朝鮮が沈黙している。2017年の朴槿恵大統領弾劾の際には連日、北朝鮮の新聞、放送でこれを喧伝していたのに、今回はなぜか静かなのだ。おそらく理由は2つ考えられる。1つ目は、大統領弾劾がうまくいきかけているのに、下手に金正恩が口を出すことで、これに水を差しかねないということ。もう1つは朴槿恵弾劾の時に北朝鮮の新聞でこれを連日報道したところ、北朝鮮住民が、人民を苦しめる金正恩政権こそ弾劾すべきなのではないかと覚醒し、抵抗運動に発展しかねない兆候があったため、今回は自制しているのではないか。尹政権が脱北者を支援し大切にしていることを、今や北の住民も知っている。金与正が少し前まで飛ばしていた汚物風船も今はストップしている。北朝鮮リスクが韓国の政情に影響しないよう様子を窺っているという状況のようだ。本当に弾劾されるべきは金正恩政権であり、その日が来るまで、またその日が来るよう、本チャンネルは努力を続ける所存である。
12月12日(木)「53年独裁のアサド政権崩壊が金正恩に与える衝撃は?」
シリアのアサド政権が崩壊した。53年続いた独裁者アル・アサドは金正恩の一番の親友と言える人物だ。イランとロシアが手を引いた途端、この腐敗した政権は崩壊した。40年続いたリビアのカダフィが殺される場面は、金正恩に大変な衝撃を与えたと言われる。北朝鮮はエジプト、イラン、イラク、リビアなどの独裁国家と友好関係を結んできたが、その指導者が次々と殺されたり国外逃亡している。アサド政権の崩壊とともにアサドの銅像が引き倒される場面が報道されたが、これを大量にコピーしてビラ風船で撒布すべきだ。北朝鮮の独裁はリビアの40年、シリアの53年をはるかに超える3代70年も続いてきた。一日も早く北朝鮮の独裁を終わらせるためにも多くの情報を北朝鮮に浸透させなければならない。しかし共に民主党は北朝鮮人権法の廃棄を目指し、統一部の人権関連予算を大幅カットしてしまった。不要なのは人権予算ではなく民主党だ。尹錫悦大統領が退陣すべきなら李在明は共に退陣すべきだ。李在明が生き残るために尹錫悦を退陣させるのは間違っている。国際環境は整ってきているのだから、国内の我々が正しく判断し努力すべきだ。
12月13日(金)「共産勢力に自由民主主義を奪われてから後悔しても遅い」
尹錫悦大統領の弾劾決議が明日に迫る中、大統領の談話が発表された。これを読んで、これまで大統領を誤解していたことを思い知らされた。今回の戒厳令は、大統領が国の現状に真剣に悩み、国の将来のため血を吐く思いで発令せざるを得なかったことを理解した。今後は全面的に支持する考えである。大統領談話では次のように述べている。就任初日から野党は尹錫悦を大統領と認めず、178回に及ぶ退陣運動を行い、数十人の公職者を弾劾することで行政府を麻痺させた。放送通信委員長、監査院長、検事、判事を弾劾し、27回もの特別検察要求を行い、野党・共に民主党の李在明代表のを無罪にすることを目的とした立法活動まで行った。これらは憲政秩序を破壊する内乱行為である。北朝鮮にも法律はあるが、指導者の一存で裁判もなく処罰・処刑が可能である。韓国をそんな国にしようとしているのが李在明である。司法秩序が破壊されれば民主主義国ではない。また、中国人のスパイ行為事件が何度もあったが、現スパイ防止法では外国人を処罰できない。そのため、法律の改正を目指しているが、民主党はこれに反対している。民主党は、韓国の安全保障を担う国家情報院の任務から対共産圏スパイ捜査権を剥奪したり、国家保安法も廃止しようとしているが、これは民主党自身がスパイだからに他ならない。これこそ内乱罪であり与敵罪である。これに一人立ち向かっている大統領に対して、与党は加勢しないばかりか、与党代表ともあろう者が野党と一緒になって大統領を引きずり降ろそうとしている。北朝鮮が核武装しミサイルで挑発しGPS攪乱を行って脅威を与えているのに、民主党はいつも国連制裁を解除すべきだと主張している。警察、検察の特別活動費を全額カットすることで麻薬やディープフェイク、暴力団の捜査をできなくしたのも民主党だ。スパイ、麻薬、詐欺、暴力をやりたい放題にし、韓国を無茶苦茶にしろという北朝鮮からの指令によるものだ。このような無法を是正するためなら、戒厳令を発令して国会を掌握し、容疑者をみな逮捕・調査して監獄送りにするべきだと、誰もが思うのではないか。民主主義は崩壊してから後悔しても元には戻せない。戒厳令は大統領固有の権限であり違法ではない。犯罪者は李在民であり、彼を裁くことが何より先決だ。
12月14日(土)「休戦ライン付近での対北心理戦に関する過去に報道した事例を特集」
今年夏に再開された対北拡声器の効果を、過去の放送を編集して振り返っている。金与正(キム・ヨジョン)が南に汚物風船を飛ばしたことに対応して、6年ぶりに再開された対北拡声器の大音響の放送内容は、休戦ラインから10~20km地点まで届き、10万万人の兵士らが耳を傾けざるを得ない。駐キューバ外交官の脱北や北朝鮮貨幣の暴落などの情報が伝えられ(7月23日動画)、休戦ライン付近への兵士以外の出入りが全面禁止され(7月28日動画)、朝鮮戦争は金日生が起こした戦争であることや地雷埋設中に人民軍兵士数十人が死亡した地雷事故など、北の内部では秘密に付されている情報も伝えられた(8月2日動画)。これらの情報はあっという間に口づてで全国に伝わるだけでなく、日々このような情報に晒され、休戦ラインの南側の夜中でも光あふれる光景を見るうちに脱北の衝動を感じる兵士は確実に増えている。
12月15日(日)「中朝国境付近が無政府状態…北朝鮮の公安は収拾不能」
今年の夏に大規模洪水被害を受けた中国との国境沿いにある新義州、義州、江界、万浦、惠山などの町が、事実上、無政府状態に陥っている。平安北道、慈江道北部、両江道の一部では、政府が既に統制を放棄したのではないかという噂が立っている。穀倉地帯である平安北道が豪雨による大被害を受けたため、北朝鮮の食糧事情自体が悪化している。そこへ水害復旧のため30万人もの青年を建設部隊として送り込んだ。現在、北朝鮮は零下10~15度の寒さであり、建設資材の供給がないため建設工事は中断されている。青年たちへの衣食住供給も十分でないため、彼らは強盗集団と化し、ただでさえ食糧が底をついている地元住民たちと戦争状態にある。当局は、これに介入しようにも対策がないため放置状態であり、治安が極めて悪化している。そんな中、集団で鴨緑江を越えて中国に逃げる者たちも相次いでおり、中国では捕まっても北朝鮮に送り返されない状況だ。もともとこの辺りは穀倉地帯なので豊かであり、中国と近いため情報に触れる機会が多く、比較的考え方が進んでいる地域である。この地域が放置され疎外される状況が続けば、社会不安が高じて反体制の動きにつながる可能性が高い。いま韓国が政治的に不安定な状況が続いており、北朝鮮のこのような非常事態に対応する準備ができていないことが心配だ。
「ピョンヤン24時」ダイジェストについて
姜哲煥氏のYouTubeチャンネルにおいて、日々韓国語で語られている最新のトピックスを日本語に要約して紹介する。
姜哲煥氏は、京都に暮らしていた祖父母と父が帰国事業で1963年に北朝鮮に渡り、1968年に平壌で生まれた。9歳の時から10年間、家族とともに悪名高い「耀徳(ヨドク)強制収容所」に収容されたが、奇跡的に釈放され、脱北後1992年に韓国に亡命。10年間の朝鮮日報記者を経て、現在はNGO団体「北朝鮮戦略センター」の代表。韓国、北朝鮮はじめ国内外に様々なレベルの情報源を持ち、信頼度の高い情報をいち早く発信している。「守る会」結成間もない時期に日本に招待し、各地で講演を行っていただくなど、「守る会」との縁が深い。
邦訳著書
『平壌の水槽 北朝鮮地獄の強制収容所』(淵弘訳、ポプラ社)
『北朝鮮脱出』(安赫との共著)上・下(池田菊敏訳、文藝春秋 のち文春文庫)
『さらば、収容所国家北朝鮮』(ザ・マサダ)