(1)日本政府による公的な教育機関の設立
日本に入国した脱北者は既に180名を超えるが、彼らの日本定着のために絶対に必要なのは日本語教育並びに職業訓練である。これは現在、NGOや個人の手にほぼ委ねられている。日本政府は、最低限、脱北者入国後半年間は、日本語教育、職業訓練、又民主主義社会での生活上のルールなどの教育を、公的な教育機関を設立して行って欲しい。NGOはその経験を機関内で充分に提供しうるはずである。
(2)生活保護ではなく定着支援
日本に生活基盤のない脱北者に対し、現在、日本国政府は日本国民の生活困窮者に対するのと同様、生活保護の支給を行っている。このこと自体は評価すべきだが、同時に、労働意欲の減退という問題も生じている。今後は生活保護ではなく、脱北者への定着支援という形で新たな法制度を組みなおす必要がある。
(2)-1;期間限定
60歳以下の脱北者に対しては、原則的に国家からの経済的な生活支援は期間を限定(私見では1年間)その段階での健康状態などを鑑みて継続か否かを判断する。生活支援費の額は現在の保護費とほぼ同額とする。
(2)-2;生活保護とは異なり労働賃金にかかわらず期間内は継続
同時に、生活保護とは異なり、その限定期間内では脱北者が労働により得た賃金の額に関わらず、最低限の支援費は削減しない。これは労働意欲や学習意欲の向上を促進するためである。
(3)脱北者の雇用促進策
脱北者を雇用してくれた企業、個人商店に対し、政府が雇用促進のための給与の一部負担などの処置を取る。これは障害者雇用の場合も行われていることであり、数十年を全く違う体制下で過ごした脱北者を雇用し、社会的教育を行うことは企業の社会貢献として評価すべきである。
(4)精神的ケア対策
脱北者の多くは、抑圧された体制下の生活や、飢餓の経験などから精神的に不安定な状態にある。又、北朝鮮に家族を残してきた脱北者は、家族の生活への不安に駆られることも多い。彼らの精神的なケアのために、専門の精神科医、カウンセラーなども必要である。この人材育成・派遣(韓国語能力が絶対必要)も日本政府は取り組むべきである。
(5)一時的な住居提供
脱北者が日本入国後直ちに直面するのが当面の生活費と住居である。これに対しては、政府が当初の入居地を提供し、最低限の家具を保障しなければならない。かってインドシナ難民を収容した施設(東京都品川区)などを有効に活用することも考えられる。
(6)脱北者の日本入国時の在留資格について
近年、脱北者が日本入国を果たした場合も、当初はその在留資格が短期滞在とされているケースがある。これを入管にて切り替えるには数週間か一月ほどがかかり、その間は不安定な立場で、生活保護の支給はおろか住居を探すのも難しく、また敷金礼金なども支援団体の負担となることがある。さらに重要なのは、この時期に病気や事故にあっても何らの公的支援も得られないことだ。脱北者を受け入れた段階で彼らの日本定住は原則的に明らかなのであり、入国時点でそれにふさわしい在留許可を出していただきたい。
(旧サイトより転載:http://hrnk.trycomp.net/statement.php?eid=00019)
コメント