ロシアのウクライナ侵攻に抗議し、戦闘停止と和平交渉を求める声明

 ロシアが2月24日に始めた隣国ウクライナへの軍事侵攻は、周到な準備の上で計画された本格的な侵略戦争である。ウクライナの国家主権を完全に踏みにじり、ウクライナ国民の生命と財産、自由と人権を棄損し続けているからだ。この侵略戦争は、第二次世界大戦以降、ヨーロッパで起きた本格的な軍事紛争であり、ウクライナ最大の原子力発電所を攻撃した行為は、甚大な核汚染被害が及ぶ危険性まで孕んでいる。決して許されない攻撃である。

 ロシア軍は開戦当初「標的は軍事施設に限る」と述べていたが、原発に加え病院や住宅など非軍事施設をも攻撃し、ウクライナ市民多数が犠牲となった。国連人権高等弁務官事務所の発表では、ロシアの軍事侵攻で、3月11日までにウクライナ市民579人(うち子供は42人)が死亡、負傷者数は千人を超えた。また国連難民高等弁務官事務所の11日の発表では、ウクライナからの避難民数は250万人を超えた。一方、ロシア国防省の3月2日の発表では、これまでにロシア兵498人が死亡、1597人が負傷した。実際の死傷者数はこの数倍とも言われるが、ウクライナとロシア双方の若い兵士やウクライナ市民の尊い命が奪われる不条理には、一刻も早くピリオドが打たれねばならない。

 プーチン大統領は2月24日の開戦宣言の演説の中で、ドンバスの人民共和国がロシアに助けを求めてきたので、国連憲章第7章51条(自衛権)などに基づき、「特別な軍事作戦実施の決定を下した」と述べた。また、軍事作戦の目的については「8年間のウクライナ政府による(ウクライナ東部のドンバス地方での)ジェノサイドから(親露派の)人々を保護することだ。私たちはウクライナの非軍事化と非ナチ化を目指す。私たちの計画にウクライナ領土の占領は入っていない。ウクライナを人質にとり、我が国と我が国民に対し利用しようとしている者たちから、ロシア自身を守るためなのだ。私たちの行動は、我々に対して作り上げられた脅威と災難に対する自己防衛である」と主張した。
 
 しかし、ロシアの主張は一方的で証拠に乏しい。国際連合人権高等弁務官事務所、欧州安保協力機構の特別監視団、欧州評議会など国際機関は、ウクライナで「ロシアの言う大量虐殺説」を調査したが、ロシアの主張を裏付ける証拠を発見できず、大量虐殺の主張は「ロシアによる偽情報」として欧州委員会により却下された。また、2月28日にウクライナの要請により国連総会緊急特別会合が40年ぶりに開かれ、アメリカなどが提出したロシアのウクライナ軍事侵攻非難決議案の採決が日本時間の3月3日に行われた。賛成が日欧米など141か国、棄権はインドなど35か国。反対はロシア、ベラルーシ、北朝鮮など5か国。3分の2以上の圧倒的賛成を得て決議案は採択された。世界はロシアの軍事行動を非とした。

 ロシアによる今回のウクライナへの軍事侵攻は、①国連加盟国に武力による威嚇または武力行使を禁ずる「国連憲章2条4項違反」、及び、国際紛争の平和的解決義務を加盟国に課した「同2条3項違反」にそれぞれ該当する国際法違反である。②国際人権法といわれるジュネーブ条約が定めた「戦時に病院、ダムや堤防、原子力発電所、民間人への攻撃を禁ずる」行為にもあたり、不当な国際人権法違反である。

 以上の理由から、No Fence(北朝鮮の強制収容所を失くすアクションの会)、北朝鮮難民救援基金、北朝鮮人権人道ネットワーク、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会の私たち4団体は、プーチン大統領率いるロシアの軍事侵略に共同して「断固反対」を表明する。ただちにロシア軍はウクライナ国内から完全に撤退し、ウクライナに再び平和が戻るよう、ウクライナ政府と和平交渉を一層、促進させるようロシア政府に強く求める。ロシア政府は国際世論に真摯に耳を傾け、偽情報による情報操作、マスコミに対する言論弾圧など、自国の尊厳を傷つけ、劣化させる行為を直ちに停止すべきである。

 約30年前、米ソ冷戦を終結に導き、ノーベル平和賞を受賞した元ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏(91歳)が総裁を務めるゴルバチョフ財団がさる2月26日、「2月24日に始まったウクライナでのロシアの軍事作戦に関連し、一刻も早い戦闘行為の停止と早急な平和交渉の開始が必要だと我々は表明する。世界には人間の命より大切なものはなく、あるはずもない。相互の尊重と、双方の利益の考慮に基づいた交渉と対話のみが、最も深刻な対立や問題を解決できる唯一の方法だ。我々は、交渉プロセスの再開に向けたあらゆる努力を支持する」との声明を出した。私たち4団体は、ゴルバチョフ財団の声明に全面的に賛意を示し、ウクライナ国民に再び平和な暮らしが戻るように、戦後一貫して平和外交を貫いてきた日本政府に、和平実現に向けて両国に対する一段の外交努力を求めたい。

 小国ウクライナは、軍事大国ロシアを相手に良く健闘し善戦しているが、これには、ウクライナの自由な民主主義体制を守るべく日・米・欧などが一致団結して軍事的、あるいは経済的支援の手を差し伸べている効果が大きいと思われる。私たち人権4団体は、こうした支援と協調の輪が、ウクライナ国民の上に築かれたと同様に、中国政府の容赦ない民族浄化の弾圧にあっているウイグル人の解放や、強制収容所の存在に象徴される、自由と人権が最悪状態に置かれている北朝鮮の人々の解放のために築かれることを、心から願うものである。

2022年・令和4年3月15日
No Fence(小川晴久代表)http:///nofence.jp/   Email:nofenceinfo@gmail.com
北朝鮮難民救援基金(加藤博理事長)http://www.lfnkr.or.jp nkkikin98@gmail.com
北朝鮮人権人道ネットワーク(陶久敏郎代表)https://ja-jp.facebook.com/nknet2015
infonk20115@gmail.com
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会(佐伯浩明理事長)http://hrnk.trycomp.net/index.php
kalmegi@gmail.com

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